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マブラヴ 転生者による歴史改変
36話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 夕呼がぼやきながらおれの部屋をごそごそと物色する。最初止めようとしたんだが、見られて困るものがあるわけでもないので、放っている。
 エロ本?あ、そういえば、そういうものもあるな。どうも精神年齢が高いせいか、その手のものを見つけられることに関する羞恥心が少ないんだよな。
 むしろ、見せつけて相手が恥じらう姿を堪能するとかしたい。まあ夕呼にそう言うのを求めるのも酷か。

 「あ、エロ本発見。あんたも男ね」

 悪い笑みを浮かべながら発見した物をぺらぺらと捲る夕呼。と、いつのまにやら真剣に見入っている。「これは…」、などと呟きながらねぶるように読み込んでいる。
 確かあれは、虎太郎と零奈のいちゃラブものだったな。虎太郎と零奈っていうのは、おれの前世で好きだったゲームの登場人物である。
 ネタとキャラ設定を提供して、作画を依頼して作ってもらったものだ。

 「ちょっと、隆也」

 「ん?なんだ」

 「これ、いくらでなら売る?」

 真剣な面持ちで夕呼が迫ってきた。そんなに気に入ったのだろうか。珍しいな、こいつがこんなものに執着するのも。

 「欲しいってんなら、別にやるのに問題はないが。なんでそんなにご執心なんだ?ゆうこりんが、そんなに関心を持つほどのものとは思えないんだが?」

 「わからないわ。わかならいけど、なぜか心ひかれるの。科学者としてわからないものをわからないままにしておくなんてありえないわ。そのためにもこれを研究しないと」

 鼻息粗く宣言する夕呼に若干引きながら、とりあえず譲渡に関しては了承することを伝えると、ほくほく顔で持っていたバックの中にそのブツを入れた。
 エロ本を鼻息粗くバックに詰め込む美女。なんかシュールだな。これでエロ本がBLものだったら、単に腐海の森の住人になってしまっただけだとあきらめもつくんだが。

 「おまたせ、出来たわよ」

 エロ本を獲たことで満足したのか、物色を止めた夕呼と時空因果律量子理論の新しいアプローチを議論していると、台所からまりもの声が聞こえてきた。
 さすがに上げ膳据え膳は悪いというわけで、おれと夕呼も手伝って台所から食事をリビングに運ぶ。
 テーブルの上に並ぶ料理におれは感嘆の声を漏らした。
 からっと揚げられたばかりのテンプラ。だしの染みた煮物。しんなりとした浅漬け。ほくほくのお米。
 前世の一般家庭の食卓に比べれば和食成分が多めだが、それでも今時割高で一般家庭ではあまり見かけない天然食材をたっぷりと使った料理の数々。
 ここ数ヶ月、軍事教練の一環として寮生活を余儀なくされていたおれにとっては、まさにごちそうだった。

 「おお、すごいな、まりもん。これならいつでもいい嫁さんになるぞ」

 「え!あ、ありがとう」

 「よかったわね、まりも。お墨付きよ」

 おれの感想にやけに顔を赤くして照れるまりもと、それを茶化す夕呼。ん?なんか違和感があるが、ま、いっか。

 「それじゃ、冷めないうちに食べようぜ。こんなおいしそうなものを見ていると、余計にお腹がすいてきた」

 「そうね、それじゃさっそくいただきましょうか。まりもの料理の腕はなかなかのものよ」

 「もう、おだてても何も出ないわよ、夕呼。でもそうね、温かいうちにいただきましょうか」

 「それじゃ」

 「「「いただきます」」」

 三人仲良くお食事タイムとなりました。
 そこには悲壮感は欠片もなかった。おれもまりもも戦場に行くのだ。しかも人間同士ではない、BETAとの戦い。負け=死の戦場であることを夕呼は知っているのだろうか?
 知っているだろう。夕呼がその程度の情報も仕入れていないことなどあり得ない。
 むしろ積極的に色々な情報を収集していそうだ。もちろん、非合法な方法であるだろうが。
 あー、そう言えば試作型量子電導脳が奴の手元にあるんだったか。世界中の機密さん、ごめんなさい。

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