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Fate/blue night
7話
(fate stay night 碧の軌跡)
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衛宮邸に虎の咆哮が響き渡り一悶着。
大事な弟分が美少女を連れ込んだことに暴走した虎を、アカイアクマが口八丁で宥めつつ丸め込んでしまった事に一同は戦慄しつつも、暫くの間、セイバーと凛、宗司は衛宮邸での同居を認められることになった。
そして大河は職員会議の為、朝食を終わらせて直ぐに家を出ていった。
台風が去った後、一同は深い溜息をついた。

「はぁ、どうにかなったな」

「ああ、それにしても遠坂すごいな…。藤村先生をあっさりと丸め込むなんて」

「まぁね。それよりも間桐さん。さっきの話だけど」

「……いやです」

「あのね−」

「おいおい、一体何の話だよ?それに士郎、その娘は?」

「ああ…、この娘は間桐桜。毎朝飯を作りに来てくれてるんだ」

桜は軽く会釈をすると、不安そうな顔で士郎を見た。
こんな可愛い後輩が毎朝朝食を?なんてリア充っ!
士郎の紹介に、宗司は軽く目眩を覚えてしまう。
桜のまるで捨てられた子犬のような瞳、この娘は間違いなく士郎に惚れているのだろう…。
まともな恋愛を経験したことのない宗司にも丸分かりだった。

「それで、遠坂は何を後輩を虐めてるんだ?いじめかっこ悪いぞ」

「失礼ね!別に虐めてないわよ!」

気を取り直して話を聞いた所、凛は桜が衛宮邸に通い妻するのを止めろとの事。
しかし桜にしてみれば当然納得出来ないことだろう。
惚れた男との二人きりの一時を邪魔されたばかりか、美少女二人がこれから想い人と暮らすのだという。
そして自分は邪魔だからもう来なくても良い?
桜にしてみれば許容出来ることではなかった。


そして凛にしても退くことは出来ない。
聖杯戦争という危険極まりない魔術儀式の最中。
一般人である娘を近くにおいておくことは出来ない。
個人的な事情は確かにあるのだが、何時襲われて命のやり取りに発展してもおかしくない状況に、桜を巻き込む訳にはいかない。
それ故に桜を拒んだのだ。
しかし桜は凛の思惑を別の形で誤解してしまい、頑なに凛の言葉を拒否している。
恋は盲目とはよく言ったものだ。

「まぁいいじゃないか遠坂」

「青木くん、あんた何を言ってんのよ」

「まぁ良いじゃん。固いこと言うなよ
 それに聞いた話だと家主である士郎が許可したんだろ?
 だったら店子は言うこと聞くだけさ。なぁ士郎?」

「あ、ああ…オレは別に構わないけど」

士郎は冷や汗を流しつつ食器を集めながら返事をする。
この空気に耐えられないのだろう。そのまま食器を持って台所に向かう。

「あ、ありがとうございます!私もお手伝いします先輩」

桜は嬉しそうに士郎の後を追っていった。
後に残された凛は宗司をギッと睨みつけた。

「で、何のつもりよ?あんた今の状況が解ってんの?」

「当たり前だろ?遠坂は巻き込みたくないんだな。あの娘を」

「だったらどうして−」

「あんな弱点、それこそ放っておけるか」

宗司は桜の後ろ姿を眺めながら吐き捨てるように言った。

「もしもあの娘を他のマスターが狙ったらどうする
 士郎はあの娘と親しいようだし、見捨てるような真似はしないだろう?
 ……それに戦争に一番必要なのは情報だ
 既に俺らの情報だって敵に知られている可能性も有り得る
 だったらいっそ目に届く範囲にいてもらったほうが都合がいいって」

「ほんとうに大丈夫なんでしょうね」

「さぁな…なるようにしかならないだろ」

宗司は疲れたように投げやりに答えると、ゆっくりと立ち上がった。
この調子だと、学校にいく時もセイバーが一緒に行こうとして一悶着有るのだろう。

宗司達はそれぞれ着替えを済ませて衛宮邸を出た。
学園の有名人である凛は、士郎たちと登校する事によって騒ぎになることを見越して一足早く、その後に士郎と桜が家を出た事を確認して、宗司は二人の少し後ろを歩く。
宗司の思った通り、セイバーも士郎と学校に行くと言い出して、言い争いになった。

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