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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その14
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 隆也はともかく、ブラボー1の操作能力、指揮能力、戦況把握能力は相当なものだ。

 「できれば隊長ともお話をしてほしいところですが、さすがに作戦中では難しいですね」

 「悪いがこちらも任務があってな、ここらで失礼する。せっかく生きて会えたんだ、また今度も生きて会いたいものだな」

 「ええ、そうですね」

 高速離脱していく見えない強化外骨格だが、たまに射撃する際に姿が一瞬浮かび上がる。
 それはまさに戦場を駆け巡る幻影のようだった。



1993年9月 ポパールハイヴ周辺 スワラージ作戦最前線(日本帝国担当戦線)

 「ひゅー、すげえな、この電磁投射砲っていうのは」

 「まったくですね、大型BETAはのきなみ吹き飛ぶし、小型種についてもその余波で粉みじんです」

 小塚次郎少佐と渡辺美咲大尉がつぶやきながら、第三中隊が電磁投射砲を撃つのを見ていた。
 もちろん、自機が所持している電磁投射砲のリロード作業は怠っていない。
 三段撃ちも今ところ順調に機能しており、現在三巡目の射撃が終わったところだ。
 竹中大尉からの分析結果によれば、36発の電磁投射砲が3巡、計108発の射撃で5000近い大型BETAが駆逐されたとのことだ。
 凄まじい威力である。

 「Eナイト1よりCPへ。敵さんの分布状況はどうだ?このままの方向での射撃で問題ないか?」

 「こちらCP。今のところ問題ありません。引き続き現在の位置から同一方向に射撃を行ってください。探知が正しければまだまだ1万程度の大型種がやってくるはずです。食いでは保証します」

 「Eナイト1、了解。聞いたか、おまえら、まだまだお客さんはやってくるそうだ。せいぜい盛大に歓迎してやれよ」

 「「「了解」」」

 「神宮司少尉、取りこぼしの対処ご苦労、引き続き頼むぞ」

 「はっ、了解しました」

 実際のところ取りこぼしの数は十数匹程度だ。とはいえ、それを冷静に捌くその技量は、初陣の衛士とは思えない。

 「HQへ、こちら日本帝国軍第二連隊所属の第七十一大隊指揮官正木だ、BETAの圧力が強すぎる。支援砲撃を求む。繰り返す、HQへ、こちら日本帝国軍第二連隊所属の第七十一大隊指揮官正木だ、支援砲撃を求む」

 回線から切迫した声が聞こえてくる。第七十一大隊といえば、いま第十三大隊が展開している戦場の左側を担当している大隊だ。ここが崩れるとBETAに左右から挟まれる形になる。

 「こちらHQ、支援砲撃要請を受諾。ただし現在他所への支援砲撃直後のため展開に時間が掛かる。600秒後に援護射撃を行う」

 「ふざけるな、600秒ももつか!」

 「こちらHQ、600秒後でなければ支援砲撃は不可能だ。それまで持ちこたえてくれ」

 「くそっ」

 その声を聞いていた小塚は大きなため息をついた。

 「これだから実戦経験のないやつらってのはやっかいなんだ。レーザー級がほぼ無効化されてるんだから600秒程度なんとでも稼ぎ出せるだろうに」

 「CPより、Eナイト1へ。お言葉ですが、我々のような実戦経験を積んでいない部隊と指揮官にその要求は少しばかり酷です。Eナイト1は少々自分を過小評価しすぎです。全指揮官があなた並みに能力をもち、全衛士が第十三大隊の平均技量を持っていれば、今頃ハイヴの1つや2つはすでに落としています」

 「そんなもんか?どうも、それ以上の化け物が一人入ってきたせいで、感覚がおかしくなっているようだ」

 ちらり、とまりも機に目をやる。
 まりもは自分のこととは思っていないのか、へー、そんな凄い人が入ってきたのか、などという顔をしている。

 「というわけで、神宮司、おまえ援護に行ってこい」

 「ふぇ!?」

 「神宮司少尉、小塚少佐の命令になんだ、その答えは!」

 鋭く飛ぶ竹中大尉の叱責に、まああまあ、ととりなすのは例によって小塚だ。

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