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行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
32 3回スカればおまけクジ、2回当たれば大噴火
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
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紫のロングヘアをした白衣の男が地下にある特殊な坑道を歩いている。

万が一のための脱出口だ、あらゆる電波、量子波を遮断する特殊な合金でできている。

しかし念話だけは通じるようになっている。

とはいえ、念話は基本的に放射的に全体へ飛ばすか、回線をつないで話すことしか前提としないため、

探知するにはその念話を聞く必要がある。

つまりは、かなり安全度の高い道であると言える。

白衣の男が歩く横では同じように紫のロングヘアをした切れ長の瞳を持つ、

バランスのいい体格をした女性が秘書ぜんとして付き従っている。

その後ろを小柄な白髪の少女が付いてくる。

この3人が今ここにいる全員だった。


「博士、本当にあの男のいた世界へいくのですか?」

「ああ、その件かい? あてずっぽうだよ。自信があるわけじゃない。

 でも今度行く世界はまだ管理局が見つけていない世界、そして科学文明が発達した世界ということで選んだ」

「はい、ですが……」

「僕はは時を越えるための技術を欲している、そして彼らの世界にはそれがある。

 いや、我々の世界にもあるのだろうと思うんだがね、でも、研究はされていない。

 発見して研究して結果を出す。一からやるといくら早くても100年はかかる。

 そこまでの時間をかけるよりは、その世界へ行って研究をかすめ取り自分のものにすればいい。

 そういうことだよ」

「では、先に残ったナンバーズに合流を指示しますか?」

「んー、いいや、向こうへ行くための戦力は十分だ、

 それより彼女らには私が帰ってくるまでに例の計画を進めておくように言っておいてくれたまえ」

「了解しました」


実際、緊急避難を行っているにしては悠然としたものだった。

スカリエッティはどこか確信めいたものを感じているのだろう。

確かに、今アキトを調べることは可能だろう、

しかし、その代り魔法の知識しかない自分がいきなり異質な科学知識を吸収できるとも考えていない。

だからこそ、科学文明が発達し、更には時間を操るロストロギアと接触した可能性の高い異次元世界を探していた。

結果見つけたのは、次元根幹が第97管理外世界と酷似した、しかし別の根を持つと思しき異次元世界。

スカリエッティはこの世界をその世界の住人の言葉から借りにクリムゾンと呼んでいる。

火星と呼ばれる惑星にそれと思しきロストロギアの反応があり、そしてそこに既に人が住んでいるということ。

また、火星以外でも複数の同系統ロストロギア反応があった。

更にはそれを利用している組織もいくつか存在しているようだ。

だから、この世界の住人と接触しなんとか技術を手に入れ、時間を操る技術を探りだすのが目的だ。

最終的にはアルハザードに到達するためにも、また、研究の失敗を起こさないようにするためにも、いろいろ役に立ちそうだ。


「もっとも収穫が大きそうである分、彼も大人しくしていてくれはしないんだろうねぇ」

「その時は蹴散らすまでです」

「私なら吹っ飛ばします」

「ふふっ、頼もしいね。でも、向こうでは君達の力は異質だ、だから出来るだけ見せたくない」

「心得ております」

「わかりました」


二人の返事に気分を良くしながら、スカリエッティは目的地へと進む。

異世界への門、不安定であるために決まった日時でしか繋がらない……。

そんな、戻ってこれるかもわからない場所で、しかし、スカリエッティは笑いを絶やさない。

なぜならば、戻ってこれるかどうかなどは彼には重要ではないからだ。


元々、彼は欲望のタガを外されて生まれてきた、倫理感や常識、自分の危険、周囲の危機、

あらゆるものよりも欲望が優先されるように。

そして、更に生まれる前から彼の欲望は決められていた、<完全な生命>の創造。

つまりは、一人で完結する生命、神の創造に他ならない。

スカリエッティはこのテーマが何者かによってもたらされたことを感づいていた。

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