■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
マブラヴ 転生者による歴史改変
11話
(マブラヴオルタネイティヴ)
  [→]  【PAGE 1/3】
 11歳になりました。西暦でいくと1985年か。

 相変わらずBETAははっちゃけているようだ。
 なんでも去年のうちに2つもハイヴとかいいう、前線基地のようなものを作ったそうだ。
 ちなみに情報源は、あのおっさんだ。
 それにしてもいいのか、おっさん。そんな情報を年端もいかない子供にほいほい話しても。

 そういえば、おっさんの名前は鎧衣左近というらしい。
 本人曰く、「謎めいた子持ちの紳士」だそうだ。よくわからん。おまけに子持ちを名乗るところがなおさらよくわからない。
 ちなみにまりもとの関係は今のところまったくなし。将来的になんらかのつながりが出来る可能性はあるが、今のところは不明だ。
 というわけで、とりあえずはつかず離れずの関係を保っている。

 最近変わったことと言えば、工房に戦術機の部品が運び込まれるようになった。
 いやあ、前から戦術機用の武器が運び込まれてくるから、本体の方にも興味があったから願ったりかなったりなんだが、どうにも作為的なものを感じる。
 だってここ、普通の町工房だぜ?
 あきらかに、あのおっさんが何か裏でうごいているよな。

 戦術機に関しては、この時代でよくもまあ、これだけのものを作り上げられたな、的な技術の固まりだった。
 そりゃおとうさんに整備マニュアルをせがんでも、

 「すまいない、隆也。軍事機密に関わるから持ち出しはできないんだ」

 と言われるわけだ。あのおれにだだ甘のおとうさんにそう言わせるだけあって、機密の固まりといっていいだろう。
 それがこんな町工房に運び入れられるとは、なんかあのおっさんだけの思惑じゃないような気がする。

 思えば、最初の頃に持ち込まれた戦術機用の兵装におれの魔改造意欲がいたく刺激され、それを実際に施したこと物を納品したことが、今に至っている要因の一つなんだろうけどな。

 その1

 「やはり刀というからには、かくあるべきだな」

 おれは持てる限りの素材工学、加工技術の粋を尽くして作り上げた一振りの刀を見てつぶやいた。
 まず最初におれが衝撃をうけたのが、74式近接戦闘長刀だ。
 スーパーカーボンなる素材を使い、確かに攻撃力、斬撃力ともに申し分ない。
 だがしかし、だがしかしだ。
 刀と名乗るからにはこれではたりない。
 まずなによりも優美さがたりない。おまけに用法も切り裂くよりも、叩き斬るに重きを置いている。そこからして気にくわない。
 折れず曲がらず刃こぼれせず、古刀のごとく優美と機能を兼ね備えた、そんなすばらしい物にこそ刀の名はふさわしい。

 というわけで、持ち込まれた74式近接戦闘長刀の魔改造を行った結果が、おれの目の前にある、真・近接戦闘長刀だ。
 刀身の素材自体はさすがにいじれなかったので、刀身のデザインを変更し、焼きに使う素材と、刀身自体を覆うコーティング素材に工夫を施した。
 脳内シミュレーションの結果によると、74式近接戦闘長刀とおれの真・近接戦闘長刀とで打ち合わせると、100本の74式近接戦闘長刀を切断してようやく刀身の歪みと切断力の低下が見られるという結果になった。
 おまけに重量は10%減だ。
 ふっ、さすが真の名前は伊達じゃない。

 素材開発の協力は、いつもの会社のいつもの社長を頼った。新素材の特許とか面倒なことを全て任せる代わりに、おれのことを一切表に出さないことを約束させている。
 もちろん保険のために、今度は特殊な性癖を満たしている現場を押さえておいた。
 そのあたりに抜かりはない。

 そもそも刀とは侍の心だ。武家なんてものがのさばっていると言うことは、すなわち侍も未だ健在なのである。
 たとえ戦術機の兵装の一つとはいえ、刀と名が付く限りはおれの目の黒いうちは妥協は許さない。

 あ、なんか今思えば、これを納品した頃から、いろいろと戦術機用の兵装が工房に持ち込まれるようになったんだよな。

  [→]  【PAGE 1/3】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る