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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史改変の章その4
(マブラヴオルタネイティヴ)
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【PAGE 1/3】
「中隊規模で実地検証か、正直、やってられんな」
帝国軍大陸先遣隊第13中隊隊長、小塚次郎大尉から思わず愚痴がこぼれる。
帝国に残っている帝国軍技術廠所属の技術中尉をやっている弟の三郎がいれば、盛大な愚痴をこぼしていたであろう。
将来的に行われるであろう帝国軍の大陸派遣、そのための試金石としてたった1個中隊で派遣された帝国軍戦術機中隊。
理屈の上では大々的な派遣を行うためには入念な下準備、それに加えてより最前線に近い位置での部隊運用のノウハウが必要になってくるのは分かっている。
だが、なぜたったの1個中隊なのだ?
せめて連隊規模、どんなに譲っても大隊規模が妥当ではなかろうか?
中隊ではあまりに軍としての規模が足りない。実地検証用のデータを取ろうにも中隊規模だけのデータなぞ役に立たないだろう。
「考えてもしょうがないか」
派遣してきた上層部の正気を疑う思考を振り払うために、頭を軽く振る。
自分は軍人だ。命令には絶対服従、それが使命だ。
たとえ上層部が無能な集団であったとしても、それに従わざるをえない。理不尽だが軍とはそういうものだ。
「小塚大尉、戦術機の整備が完了しました」
「わかった」
背後からかかる声に振り向きもせずに答えをかえす。
相手は気を悪くした風もなく、小塚の背に敬礼をすると、再び持ち場に帰っていった。
「出撃か…」
もの憂げなつぶやきが小塚の口からこぼれる。
先ほど声をかけてきたのは、スミス孝少尉、日本人とアメリカ人の間に生まれたハーフだ。
この中隊を構成する隊員は全員、なんらかの事情を抱えている。
例えば、外国籍を片親に持つハーフであったり、難民出身であったり、身内に犯罪者を持つものであったり、すねに傷持つものであったり。
そんな寄せ集め中隊を好きこのんで引きいろうとするものはまずいないだろう。
事実、小塚が現れるまでは、暫定的な中隊長こそいたものの、兼務という形でその実態は腰掛けでしかなかった。
だが、小塚が中隊長になってから全ては変わった。
小塚は全ての隊員に対して等しく接し、決して彼らを差別するようなことはしなかった。
意見があれば真摯にそれを聞き、正すべきところは正す、至極まっとうな対応をおこなった。
訓練では自分が筆頭に立ち、後に続く者にその背中を見せ、訓練の合間におとずれる日常での交流も決しておろそかにはしなかった。
そんな小塚の頭の中には当然ことながら、隊員全ての経歴、人物像に至るまで全てがその頭の中に入っている。
たかだか中隊規模の組織編成だ、整備兵の一人に至るまで小塚は熟知していた。
だてに士官学校をトップクラスの成績で卒業し、20代後半で大尉になってはいない。
もっとも、大尉になってからというもの、その癖のある性格のせいで一向に昇進の話はなく、30代半ばを超えても未だに昇進の話はない。
それもしかたがないことか、と自嘲気味な笑いが小塚の口元に浮かぶ。
「厄介者を好きこのんで面倒を見る奇人変人、か」
それこそが、帝国軍内での小塚への見解だった。
だがその能力に疑問をていする者はいない。有能故に、その性格が石頭の帝国軍上層部に疎まれているのは本人も自覚している。
だが、この性はどうしようもない。
同じ帝国軍に身を寄せているものが、くだらない理由で不当に差別されているのが気にくわなかった。故にそれを少しでも正さんと行動した結果、現在の中隊長の地位に据えられた。
別にそれに不満はない。中隊を構成する隊員の素性を詳しく知ってからはなおさらだ。
だからこそ今回の命令には不満を隠せない。
捨て石当然の任務。
つまり上層部はこの中隊を厄介者扱いしており、せいぜい実戦データを送る役に立てばいい程度にしか考えていないのだろう。
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