■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
マブラヴ 転生者による歴史改変
18話
(マブラヴオルタネイティヴ)
  [→]  【PAGE 1/3】
 帝都にわざわざ足を運ぶんだからということで、折角ついでに帝国軍技術廠に挨拶に行くことにした。
 目的は小塚さんに色々と迷惑をかけたようなのでそのお詫びと、今後も変わらない協力をお願いするためだ。
 当然のことながら帝国軍の敷地内にある上に、機密情報を扱う部署名なわけで、簡単に入ることはできない。
 というわけで、困ったときの鎧衣もんにご出馬願った。
 なんか珍しく嫌な顔をしていたが気にしない。

 「で、なんで正面から入らないんだよ、鎧衣さん」

 「ふむ、おかしなことを聞くな。そんな足跡を残すようなまねを好んでするとは、さては君は変態なのかね?」

 「変態ちゃうわい!」

 と言うわけで、秘密のルートを使って技術廠に絶賛侵入中だ。これって、見つかったら銃殺ものじゃね?

 「そろそろつくぞ、準備したまえ」

 「準備って、なんの?」

 「なに、一度言ってみたかっただけだ」

 「さよですか」

 などと全く緊迫感のない会話を交わしながら、おれたちは降り立った。
 小塚三郎技術大尉のオフィスの一角に。



 「というわけで、初めまして、小塚技術大尉殿」

 「え、ああ、初めまして」

 おれがぺこりと頭を下げると、律儀に返礼を返してくれた。目には困惑が踊っているにも関わらずきちんとした対応だ。真面目な人なんだろうな。

 「で、いったい、誰なんです鎧衣係長、この少年は?あなたが神出鬼没だということは慣れているのですが、子連れとはまた珍しい」

 「そうですな、では、紹介しましょう、彼が柊町の鬼才、立花隆也、その人です」

 「なるほど、この少年が柊町の…!?ちょちょちょちょっ、まってください、鎧衣係長?今なんと?」

 胡乱な目で鎧衣のおっさんを見ていた小塚さんの顔が驚愕にゆがむ。
 まあ、わからんでもないな。なにせ見た目中学生だからな。

 「あの真シリーズの兵装を開発し、撃震・弐型の原型を作り出した人物ですよ、小塚技術大尉」

 そういえば、真シリーズを作ったのは10歳を少し超えたくらいだったか。そう考えれば、小塚さんの反応もまあわかるわな。

 「ちょっとまってください。鎧衣係長、その人物と言えば撃震の基礎部品を生産する製造機械の改修にも関わっているはず。この少年は15歳前後に見えるのですが?」

 なんか震えながら鎧衣さんに聞いている小塚さんを見て、あ、そういや10歳になる前からいろいろと工作はしてたな、と思い当たる。

 「信じがたいことはわかりますが、見て見ぬ振りをしても事実は変わりませんよ?」

 珍しくまともな意見が鎧衣のおっさんのくちからこぼれた。
 このおっさんがいうとさすがに真実みがあるよな。最新鋭の監視システムを難なくかいくぐって、小塚さんの部屋に侵入した手管といい、見ていなければ到底信じられないことのオンパレードだったし。

 「では本当にこの少年が?」

 「ええ、紛れもなく、正真正銘の本人です」

 「おお!」

 ひどく真摯な目で見つめられた。なんかくすぐったいな。特にお尻の辺りがむずむずと、いや、うそですよ?本当に。

 「立花隆也くん、だったね!」

 「あ、はい」

 小塚さんが、執務机から一瞬にして距離を詰めてきた。何という縮地っぷり。さすがのおれも反応が一瞬遅れた。気がついたら、両肩をがっちりと押さえられてしまっていた。

 「君、今の所属はなんだね?その年頃なら教育機関にでも通っているのか?それはいけない、それは大いなる損失だ。我々帝国軍技術廠なら、君に今すぐにでもふさわしい地位と役職を与えることができる。当然その準備もすでに整っている。どうかね、今すぐにでも帝国軍技術廠に入らないか?」

 一息に捲し立てられたら。目は正気、本気とかいてマジと読むその意気込みもびんびんに伝わってくる。
 なんかこう、あまりにも押しが強すぎて、正直引くわあ。

  [→]  【PAGE 1/3】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る