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マブラヴ 転生者による歴史改変
23話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 「くるな、くるな、よるんじゃねえ!」

 「ブラボー4、落ち着け。むやみに発砲しても敵には当たらない」

 「けどよう、けど、こいつら、倒しても倒しても湧いて出てくるんですよ。ああ、もう残弾が」

 「チャーリー4より、チャーリー1へ。だめです、これ以上は弾薬が持ちません」

 「わかっている。今撤退経路を探っている。それまで何とか持ちこたえろ」

 「アルファ1より大隊各機へ。このBETAどもの包囲網からの撤退ルートが出た。戦術マップに送る。確認しろ」

 「了解」

 戦域通信網から声が聞こえてくる。どうやら撤退のめどがついたらしい。
 こりゃ、助けに行くまでもないかな?
 と思ったら甘かった。

 「ブラボー1よりアルファ1へ、大変です、撤退ルート上にBETAの地下侵攻です」

 「なっ!?」

 「撤退ルートが完全にふさがれています。しかも突出していたブラボー7とブラボー8が、完全に孤立してしまいました」

 「くそっ、なんでこんなタイミングで」

 へいへい、そんなこったろうと思ったよ。
 ちょうどおれの認識範囲内にBETA特有の気と、人の気が2つ入ってきた。
 こいつがブラボー7と8か。
 もう少しだ、もう少しだけ持ってくれ。
 最後の加速をかける。

 前方に見える戦闘は一方的な蹂躙劇へと姿を変えかけていた。
 かろうじて冷静な射撃を行っていたブラボー7が射撃を行わなくなったことが原因だ。おそらくは弾切れだろう。
 ところが意外と冷静な声が聞こえてくる。

 「ブラボー7、残弾ありません。これより近接装備のみで戦闘行為を継続します」

 「ふざけるなよ、こいつら相手に銃なしで戦うなんて正気じゃないぜ」

 こっちはブラボー8か。ブラボー7と比べて偉く動揺している。まあ、エレメント組んでいる片方の銃弾がなくなったと言うことは、射撃による支援が期待できなくなることを意味するからな。動揺するのも無理はないか。

 「それならあなたは、そのまま銃を撃ち尽くしたら大人しく殺されるつもり?そんなつもりはないでしょう。それなら最後まであがきなさい。できるだけ支援はするわ」

 ようやく視界に移ったその機体はF−15イーグル。なかなかいい機体に乗ってるじゃないか。
 残弾0になった突撃銃を破棄し、近接長刀を抜いてBETAと対峙するブラボー7。それを支援するブラボー8。
 だが銃なしでは圧倒的に手数が足りない。ましてやこれほど大量の敵に囲まれている状態だ。一瞬にして劣勢に陥る2機の戦術機。
 それにしてもあれが大型種か。
 突撃級の姿はちらほら見られるが、要撃級の姿の方が圧倒的に多いな。
 それにしても趣味が悪いよな、BETA。造形といい、色彩といい。まあ宇宙人に美的センスを求める方が酷なのはわかっているんだが。

 「背後から2つ。ブラボー8、回避を」

 「くそっ、援護が受けられないからってそう簡単にやられてたまるかよ!」

 ブラボー7はよくやっていると思う。銃での援護が出来ないのを埋め合わせるように、ブラボー8の安全を確保するような立ち位置を常に確保し、奮戦する。
 先ほどの会話から見るに、精神的にもブラボー7は優れている。戦術機の操作技能も一級品だろう。
 だが先ほども言ったとおり、手数が圧倒的に足りない。その上で相手の侵攻を食い止めるポジションに立ち続けることは、まさに目隠しで綱渡りをするに等しい行為だ。
 当然そんなことが長時間維持できるわけはない。
 要撃級の一撃がブラボー7の肩をかすめる。バランスを崩した戦術機がオートシーケンスで足を踏ん張ろうとする。
 あ、やばい、それでは。
 予想通り動きが止まったその一瞬のタイミングを計ったように、別の要撃級の一撃がブラボー7の胴体、管制ユニット付近に向かって振り下ろされる。

 「あぁ」

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