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マブラヴ 転生者による歴史改変
24話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 右を見てもBETA、左を見てもBETA、後ろを見ても当然BETA、前を見ると言うまでもなくBETA。
 ああ、世界はこんなにもBETAに満ちているというのに、どうして世界には争いが絶えないんだろう。
 まあ、原因がBETAだからなんだが。
 くだらないことをつらつらと考えつつ、左右の重機関銃を撃って撃って撃ちまくる。
 あ、光線級めっけ。
 情報収集、情報収集。
 戦車級を足で蹴飛ばして光線級との間の射線を遮ると、そのまま一気に距離を詰める。
 接近して状態を観察、ついでに気の性質も観察。気については他のBETA同様にへんてこな気だ。情報収集が完了したのちに、蹴りで粉砕する。
 そうこうしているうちに、救援対象の戦術機大隊を発見。気の反応を探るが、先ほど観測した数から減ってはいない。
 よし、何とか間に合ったか。
 と思ったら無線から絶叫が聞こえてきた。

 「ひいいいい!!BETAにとりつかれた、たすけ、助けてえ!」

 「アルファ5!くっ、誰か、援護に回れる者はいないか!」

 視界には戦車級にたかられるF−15イーグルの姿が。
 他の機体が救援に回ろうとするが、要撃級の群れが邪魔をしてなかなか駆けつけることができない。
 幸いこちらからは射線が通っている。いける。

 「こちら支援者、これより支援を開始する。アルファ5、むやみに動くなよ」

 声をかけると同時に、気の量を調節した重機関銃を的確に戦車級に向かって撃ち込む。
 次々とはじけていく戦車級を見ながら、周囲の様子を見る。どうも、殆どの機体が弾薬が心許ないらしく、積極的な攻勢には出ていない。おかげでBETAに押し込まれている。
 これはさっさと撤退させるに限るな。
 いつまた戦車級に取り付かれる機体が出るとも限らない。日本の衛士なら長刀と短刀でうまい具合に戦車級の跳躍をさばけるのだろうが、国連軍にはちときついだろう。

 「よし、排除完了だ、アルファ5、動いてもいいぞ」

 戦車級を全て排除してから通信を入れると、先ほどまでぴくりとも動かなかった機体が再び動き出した。
 おれの指示が飛ぶと同時に、すぐさま一切の動きを停止させたことから、かなりの胆力があることは伺える。そうでなければ、指示があったところでパニック状態のまま動き回っていただろう。
 もっとも、上げた悲鳴は少々情けなくはあるが、そこはそれ人間だからしかたがない。

 「アルファ1より、支援者へ。感謝する」

 「気にするな、こっちも頼まれた以上は全力を尽くすさ。ブラボー7から連絡は入っているな?」

 「ああ、最初は正気を疑ったものだが、実際に目にすると今度は自分の目を疑ってしまうな」

 「気にするな、気にしたら負けだ」

 「そ、そうか、そうだな。ブラボー7もそう言っていた」

 感謝の言葉を贈ってきたアルファ1。おそらくこの大隊の隊長だろう。戦況を見ながら適切に中隊長へと指示を飛ばしている。それと同時に自分も戦闘をこなすのだから大したものだ。
 それにしてもどんな伝言を送ったんだろう、ブラボー7。秘匿回線を使ったのか、こちらの無線には伝言が入ってこなかったのでよく分からない。
 まさか悪口はいってないよな?大丈夫だろう、たぶん、うん、きっとそうだと信じたい。

 「おれが殿を努める、全機撤退を開始してくれ。進路はおれが通ってきた道をそのまま辿ればいい。戦術マップへの反映はすでに行っている」

 「アルファ1、了解した。聞いたか、全機撤退を再開しろ」

 「「了解」」

 一斉におれが送った進路情報を元に、戦術機が撤退を開始する。
 おれはその前方を遮ろうとするBETAに対して的確に弾丸を撃ち込んでいく。
 BETAなんだが、その種族により微妙に気の性質が違う。逆に言えば、同じ種族、闘士級なら闘士級でその身に宿す気は完全に同一だ。

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