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マブラヴ 転生者による歴史改変
20話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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「というのが、アタシの今考えている理論よ」
夕呼がつらつらと述べた理論を頭の中で整理してみる。
「ふーん、なんかいろいろと難しいこと考えてんだな」
「あんたにいわれたくないわね。裏ではアタシのおよびもつかないことを考えて、いろいろと画策しているくせに」
「なんのことやら?」
「ふーん、とぼけるわけ」
「別にとぼけてるわけじゃないんだがな。っと、あぶないあぶない、今のは良いタイミングだったぞ、まりもん」
「ほめられても嬉しくないわよ。だって、隆也くん、片手で相手しているじゃない」
着地したまりもは不満げな顔でぼやいた。
ちなみに今は並列思考のうち二つを使用中で、一つは夕呼との会話、一つはまりもとの修行用に使っている。というわけでかたやまりもと組み手、かたや夕呼と理論談義などを行っているわけだ。
「そこはそれ、実力の違いってやつだ」
「もう、すぐに追いついてやるんだから」
まりもはぐっ、と力をためると再びこちら向かって突っ込んできた。
「っ!?」
おれがものの見事にカウンターを決めると、まりもは派手に後方に吹っ飛んでいった。
まりもの場合、攻撃が良くも悪くもまっすぐなんだよな。一応フェイントとかは入れているんだけど、長年の付き合いのせいか、それともまりもの性格のせいか、やはりどこかまっすぐ一本芯が通っているため、割と見破りやすい。
そんな光景を呆然と見つめているのは、マブレンジャーに加入したての武と純夏だ。
「おーい、ちゃんと見とけよ。これも見取り稽古っていって、りっぱな修行の一つなんだからな」
「お、おう、あたりまえだぜ、師匠」
「う、うん、当然だよ、師匠」
ちなみに2人には、ほかの隊員と同じように、「思考制御」「思考高速化」「思考並列化:LV2」を取得済みだ。
武についてなんだが、Exの属性が生かされずに結局おれと同じだけの経験で特殊技能を取得する必要があることが分かった。
ふふ、ざまあ見ろ。別世界とは言え、主人公だったならさぞかしいい目を見ただろう。ちったあ苦労というものをしるがよい!
「いいか、さっきも言ったように、瞑想しながら、おれとまりもんの組み手を見るんだぞ。二つのことを別々に処理する。これが基本だ」
そう、武と純夏には、瞑想と同時に見取り稽古をやらせている。これがまた難易度が高いのだ。子供故の好奇心で、どうしても動き回る方に思考が引っ張られるのだが、それをぐっと堪えて、片方の思考を瞑想に向ける。
これは思考並列化を自在に操るためには必須な技能だ。
「それにしてもまりも、派手に吹っ飛んだわね。大丈夫なの?」
「ああ、あれか。あれは半分はまりもんがわざと衝撃方向に向かっていったからだよ。たぶんダメージは殆どないはずだ」
「はあ、あんた達の組み手を見てると、まりもがいかに授業中に気を使っているかがよく分かるわね」
「そりゃ、そうだろう。まりもんが本気出したら、体育教師が発狂しちまう」
「それを片手であしらうあんたが言うと、説得力があるわね」
そうこうやっているうちに、まりもが立ち上がりダメージを確かめるように身体を動かしている。
きれいに決まったし、まりもの衝撃の反らしかたも申し分がなかった。ダメージはほぼ0だろう。
「隆也くん、もう一回行くよ」
「おう、こいや」
おれは思考の一つを対まりも戦用に、もう一つを対夕呼用に切り替えた。
「ところで、ゆうこりん、さっきのおまえの理論なんだが、おれはちょっと違う考えをもってるんだがな」
「へえ、それって?」
夕呼の目が怪しく光る。これだよ、この妖艶さがまりもには足らないんだよな。
あ、そうそう、ゆうこりんってのは、夕呼の呼び方だ。最初は盛大に反対されたんだが、なし崩し的に正式な愛称になった。
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