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マブラヴ 転生者による歴史改変
26話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 「でもなあ、わざわざ脳の仕組みを忠実に再現する必要なんてあるのか?」

 「当たり前じゃない。人間の意識を再現するためには、脳の仕組みをそのまま再現する必要があるに決まっているでしょ」

 「決まっている、ねえ」

 まりもとの訓練が終わった後、おれは夕呼と話し込んでいた。
 まりもはいつものように、武と純夏の特訓を見ている。
 今は基礎固めの段階なので、まりもで充分だと判断してまりもに任せている。実際のところ、教えるのうまいんだよな、まりも。

 「ちょっと、発想を変えたらどうだ?」

 「どういうことよ?」

 夕呼が探るような目でおれを見る。

 「例えば戦術機だ。確かに人型をしてるが、あれって人の仕組みを再現しているか?」

 「…してないわね」

 しばし考えて答えが返ってくる。
 しかし、戦術機の仕組みなんていつの間に知ったんだ、こいつ?一応、軍事機密のはずなんだが…
 まあ、夕呼だから、の一言ですむと言えばすむんだが。

 「だろ?それで戦術機の機動が人間に劣るかと言えば、そうじゃないだろ?むしろ人間には出来ない機動を可能にしている。もっとも、人間が中に入って操る必要はあるんだがな」

 「つまり、忠実に機能を再現するだけがいいとは限らない、ということ?」

 「おれはそう思うね。しかも、ゆうこりんの考えるのは、人間の意志を量子電導脳に持たせたものだろう?人の脳の仕組みを忠実に再現しただけじゃ足りないだろうに」

 「そうね、だとすれば肝心なのは、人の意志を再現すること?」

 「そういうことだな。形から入るのが悪いとは言わないが、今の技術水準じゃゆうこりんの考える方法じゃ少々無理があると思うな」

 などといいつつ、実はおれの頭の中には量子コンピュータの基礎理論が完成している。試作品は脳内シミュレーターで絶賛作成中である。
 この理論があれば、夕呼のいうところの量子電導脳は再現可能なのだが、今のところ秘密だ。

 「それにそもそも人の頭なんて一つだろ?それを無数の半導体を詰め込んだ物で再現しようなんて無茶もいいところだろうに。もちっと別のアプローチを考えるべきだと思うんだけどな」

 「!?そう、それよ!」

 「ん?どれだ?」

 「そういうぼけはいらないわよ!そう、それだわ。人間の脳なんて所詮は一つじゃない!」

 「はあ、確かにそうは言ったが」

 「これは使えるわ。となると…」

 ぶつぶつと呟きだした夕呼を眺めつつ、良くも悪くも天才ってのはわからんなあ、と思う今日この頃だった。
 それよりも、おれも色々と考えをまとめないとな。
 考えるのはもちろん実戦を経験して得た物についてだ。
 まずはBETAについの情報。
 各種属については脳内シミュレーターで現在鋭意解析中だ。ただおれの推測になるんだがあいつらって、有機体で作られた機械みたいなもんじゃないかと思っている。
 正確なことはこれからの解析結果待ちだが、推測はおそらくあたっているだろう。
 なんせ個性ってものがまるでないような奴らだしな。複雑な思考をするような頭脳も持ち合わせていないだろう。
 気の性質からいっても、間違っても自我なんて持っていないに違いない。
 それより問題なのは、地中にいるBETAについての情報がとれていないことだ。ただ、未確認の地下侵攻用BETAが存在するというのは、それだけで重要な価値のある情報だ。
 地下侵攻を予測する際に、こいつの存在が明らかになっているのとなっていないのとでは雲泥の差がある。
 今まで使っていた振動計を改良して、地下侵攻用のBETAが動く際の特有の波長とかを検出できるようにするか?
 それだけでもだいぶ違ってくるはずだな。なにせ地下からの奇襲を未然に防ぐことが出来るようになるんだから、生存率の向上にも役立つだろう。

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