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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その5
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 「小塚技術大尉、いろいろと兵器の改修案を考案してみたので是非見て頂けないでしょうか?いかんせん思いついたものを片っ端から資料に起こしたもので、独りよがりのものになっているのではないかと心配で。そこで是非、第三者からの意見を聞いてみたいのです」

 例によって例のごとく、いつの間にやら小塚の執務に現れた隆也は、そういって資料の束を小塚の机の上に置いた。

 「ふむ、それでは見せてもらおうか」

 本能がひっきりなしに警告を告げる。だがここで負けるわけにはいかない。そう心を決めて、小塚は目の前にうずたかく積まれた資料を手に取った。
 ぺらぺらと目を通していく。少々気が抜ける思いだったが、それは至極まっとうな提案書だった。
 なるほど、これはいい。
 はじめに手に取ったその資料に記されているのは、後方支援車両の改修案だった。とくに走行速度の向上に関するものがメインとなっている。緊急離脱用に走行車両用の跳躍ユニットを取り付ける案もいい。
 だがこれはなんだろう?
 配備されるミサイル弾頭。それについて、少々不穏な気配を感じる。

 「立花くん、少々聞きたいのだが?」

 「はい、なんでしょうか?」

 「この対レーザー属種用多弾頭ミサイルのことなんだが」

 「それですか。仕組みは簡単で、レーザー照射の初期段階における微弱なレーザー波を検知し、空中で複数の弾頭を分離、照射元に対して不規則な機動をえがきながら目標を駆逐する。言ってみれば、後の先を取ることに主眼を置いたミサイルですね」

 「…そんなことが可能なのか?」

 「はい、レーザー照射の初期段階に出されるレーザー波については、重光線級、光線級ともにサンプルは揃っているので、まず間違いない働きをしてくれるはずです。それに複雑な機動についても、人が乗っていないために、レーザー照射を振り切るほどの無茶な機動を取らせることも可能になっています。問題は、レーザー波の感知機構の開発が難しいことですね。もっともそれについては、基本設計は出来ているので大した障害にはならないでしょう。あとは、特殊な推進剤を使用することになるため、そのコストがどれだけかかるかが不明瞭なところですね。もちろん量産化することになれば、それによってコストダウンも可能になるでしょうが」

 「レーザー波のサンプル?」

 「え?あ、まあ、ちょっとした伝手がありまして」

 露骨に目線をそらす隆也。本当はいろいろと突っ込みたいところだが、ここで追求したところで隆也は決して口は割らないだろう。
 仕方なしに、小塚は資料に目を戻した。と思ったら、途端に目を隆也に向けた。

 「なあ、立花くん」

 「はい、なんでしょうか?」

 「この地下震動探知機の改修案のところなんだが、地下侵攻用のBETAを検知するためとかかれているんだが?」

 「あ、あー、それですね、はい。それも伝手からの情報です。なんでも地下を移動するBETAの存在が観測されているらしいんですよ。しかもその大きさから考えて、BETAの搬送用としての役割を果たしている可能性が大きいらしいのです。そのことから、そのBETAが地下を移動する際に発生する特定の振動波形を感知するように改良を加えるというところが目的です。それにより大規模な地下侵攻を事前に察知することが可能になり、奇襲を受ける可能性を大きく減らすことできるはずです」

 小塚は少々考える。わかっている、わかってはいるのだ、突っ込んだら負けなのだと。だからあえて無視する。技術者としてどうなんだ、と技術者魂がわめくが、それを己の心の平常心のためと無理矢理押さえつける。

 「なるほど、それにしてもすごいな、それは。未だにどこの国も、そのようなBETAについての情報を手にしていないというのに。それだけすごい伝手なのだ、これからも大切にしておいてくれるとありがたい」

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