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マブラヴ 転生者による歴史改変
28話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 食糧事情の改善と言っても今ところの案としては大きく分けて二つある。
 一つは、合成食材の改良による味の向上。
 一つは、天然食材の品種改良と栽培設備の整備による収穫高の向上。
 おれ的には天然食材の案を推したいのだが、前線国家の事情も考えると、合成食材の案も無碍にはできない。
 と言うわけで、両方を推進することにした。
 伊達に脳内シミュレーターを持っている訳じゃない。普通なら、予算と人員の都合で躊躇する計画の同時並行も実現可能だ。
 というわけで、まずは情報収集、情報収集。
 小塚さんの知り合いで農水省に勤務している人から幾つかの企業を紹介してもらい、見学に出向く。
 大手の合成食材作成メーカーと、天然食材の卸問屋、天然食材の栽培プラントを研究している会社等々。
 いやいや、大変勉強になりました。
 まさか案内した設備全てがおれの脳内シミュレーター内で再現されているとは、企業の人々も夢にも思うまい。つーか、これって普通に産業スパイだよな。ま、いっか。
 そこからおれの食物大研究が始まるわけですよ。
 合成食材については、その栄養価などについては申し分がないできとなっている。これはこれである意味完成した食材ではあるのだが、いかんせんうまみが足りない。
 世界情勢のせいか、それとも技術的な問題かはしらないが、味に関する研究がとことん不足している。
 前々から思っていたんだが、この世界は妙なところで凝っているくせに、重要なところに無頓着だったりする。おれが手がけた案件で言えば、戦術機の制御OSの機体硬直とかだ。生存率が5割も上昇したのだからその効能は言うまでもないのだが、不思議なことにおれが発案するまで誰もそれを欠点だと思っていなかったのだ。まあ今まで生きてきた世界観の違いといえばそれまでなんだが。
 前世の世界に、この世界の人間が転生したら、全く同じ感想を抱くかも知れないしな。こればっかりは、神のみぞしるってやつか。
 というわけで、まずはうまみに関する成分の研究から始めた。
 もちろん元になるのは天然食材だ。その成分を徹底的に解析し、より安価で安定した添加物の開発を行う。
 それを合成食材の作成段階で混合させて、どのような味になっているか見る。
 うん、脳内シミュレーターで良かった。実際にこんな激マズなもん食ったら、その日一日の食欲を無くす。失敗は成功の母とはいうが、できるなら失敗なんてしたくはないな。
 思い出しただけで、口の中に嫌な味が広がるような気がしてきた。
 とはいえそんな試行錯誤も、数日で終わりが来る。本来なら十年単位の時間をかけて研究する内容なはずだが、おれの持つ能力を使えばそんな常識も軽く覆る。
 合成食材に混ぜる味調整用の添加物、完成!
 肉、魚、野菜、全てにおいて、本物並の味を再現できることに成功しました。問題は食感の再現がまだできていないことか。
 やはりやるからには完璧を目指さないと。
 と言うわけで、まだまだ完全なる完成とはいかない。道のりは長く険しいが、おれは胃袋を満たすためにやり遂げてみせる。
 なにせおれはようやく登り始めたばかりばかりだからな、このはてしなく遠い究極の合成食材完成坂をよ…

 未完

 正直調子に乗った。反省はしていない。
 とまあ、ネタはこの辺りにしておいて、同時並行で進めていた天然食材の品種改良だ。
 この辺りは、前の世界での話題になったが、遺伝子組み換えが一番手っ取り早いという結論に至った。
 交配による品種改良も考えたんだが、いかんせん時間が掛かりすぎる。それならば、遺伝子組み換えのほうが確実だ。健康への影響についても調査、実験しておけば問題ないだろう。
 まず目をつけたのは当然お米である。日本人ならお米だろう、お米。
 基本は作付面積あたりの収穫高の向上だろう。次に味。いや、味は重要ですよ。で、その次が冷害やら干ばつに対する耐性、そして病気に対する抵抗力の向上と。

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