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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史改変の章その14
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1991年 初春 日本帝国柊町

 「今年の新入学生、一体何人当たりがいると思う?」

 高田正一が、校門をくぐってくる新品の制服に身を包んだ少年少女達に目をやりながら聞いてくるのに、隣にいる畑山道江は素っ気なく答えた。

 「当たり、というのは、綺麗どころの女子が入ってくるか、ということだろ?そういうのは、個人の好みによるからね。まあ、君は守備範囲が広いからそれなりにいるんじゃないかな?」

 「そうかー、そうだといいな」

 「やれやれ、現実も大切だが、私たちにはもっと崇高な役割があることを忘れてはいけないよ?とはいえ、新しい素材だ。私もしっかりと見ておかないといけないね」

 短く刈り揃えた髪と鋭い柳眉からどこか冷たい印象を抱かせる畑山が、高田が見ていた新入生の群れに目を向ける。
 少しつり上がり気味の目。その鋭い眼光は獲物を狙う猛禽類のそれに近い。

 「ふむ、相変わらず男が多いね。でも毎度の事ながら美形の割合が多い。これは新しいカップリングの可能性が増えるね。それと女の子は少ないが、粒ぞろいだ。ふふふ、これはこれで使えそうだ」

 舌なめずりしながら目を細めている畑山。黙っていれば、ボーイッシュな美女なのだが、今は常人が近づきがたいオーラを放っている。

 「そ、そうか。流石は、我らが非現実創作部の副部長だな。いろんな意味でやばいやつだぜ」

 彼女は男女を分け隔てしない。ノーマルでも男×男でも女×女でも、さらに付け加えるなら無機物×無機物だろうとどれでもいける、ハイブリッド型だった。言い換えると廃ブリッドだ。
 基本的にノーマルしか受け付けない高田にとって、この畑山はある意味理解しがたい存在であった。
 というか、以前彼女の創作物の一つであるH−MANGAに上級生(男)とのカップリングで登場させられたことから、苦手意識さえ持っている。だが、それらを差し引いても、彼女の才能は素晴らしかった。
 こんこんとわき出る泉のように、素晴らしい発想の創作物を作り上げていく彼女。非現実創作部の理念である、常識に囚われるな、現実を超える虚構、己の仲に眠る欲望を解き放て、それらを全て実践している。
 しかもその作品が素晴らしいとくれば、もはや文句のつけようがない。
 普段どころか、一度もその姿を見せたことがない部長に比べると人望も人気があまりにも違いすぎる。

 「そうだ、高田くん。先日部長から連絡が入ってね。新人の確保を依頼されたよ。技術よりも情熱を優先して選別してくれ、とのことだった。今は私たち2年の7人しかいないからね。君もがんばってくれたまえよ?」

 そう、この日本帝国軍所属高等部の非現実創作部昨年一人の漢の手により立ち上げられた。設立1年しか立っていない部なのだ。そしてその部活動内容を知る教員はほんの一握りに限られている。
 内容とはすなわち、アングラに蔓延るMANGAの製作だ。しかも通常の漫画だけではなく、H−MANGAと言われる青少年にとって非常に目の毒な漫画までも手がけている。
 しかもそのジャンルは、多岐にわたる。ノーマル、ガチホモ、BL、レズ、百合、無機物カップリング、etc。
 そんな憲兵に見つかればただではすまない創作活動を、なぜ帝国軍所属の高等部が認めているか。それはすなわち、この部の創設者であり部長である一人の人物の手腕に他ならない。
 副部長である畑山以外誰も知らないその人物は、性別、所属学科などすべてが謎に包まれている。

 「部長はやっぱり出てこないのか?」

 「ああ、あの人は忙しい人だからね。その程度の些末なことなど、我々がやればいいことさ」

 「でもよう、どう考えてもおかしいぜ。仮にも部長だろ?新入部員の選考くらいは手伝ってくれてもいいだろ?」

 「まあ、君の言うことも一理あるけどね。でも、部長は私に全てを任せるといってくれた。それにそもそも、私以外の部員は私が集めたんだよ?だから選考については問題ないさ」

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