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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史改変の章その15
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1991年 初夏 帝国軍技術廠
乱雑に書類が積まれた小塚三郎技術大尉の執務室。
響き渡るのは、書類を滑るペン先の音、そして決裁書類に承認印を押す音だけ。
常人ではとてもでもないが捌ききれない書類の山をあっという間に片付けていく小塚の前に、うずたかく積まれた書類は残すところ最後の一枚きりとなった。
「耀光計画についての報告書か…」
手元の端末を操作すると、耀光計画に関する報告書の詳細、戦術機の技術情報の一覧がディスプレイに浮かび上がる。
キーボードを手慣れた仕草で操作し、さまざま技術情報、そして計画の概略などをチェックしていくが、その速度が半端ではない。
莫大な量の情報を確認した後、彼は書類にサインをし、印鑑を押した。これで今日の書類仕事は完了だ。
本来なら丸一日潰しても難しい仕事を小塚は二時間程度で終わらせていた。これは去年、立花隆也からもたらされた不思議な能力のおかげだ。
彼曰く、
「集中力が増して、なおかつ頭の回転が驚くほど速くなる魔法の処置です。代償は小塚技術大尉の経験のみ。今ならセットでたったの6000です。どうですか?」
「いや、なにがなにやら分からないのだが?」
「いえ、衛士訓練学科のカリキュラム変更で、お手数をお掛けしたそのお礼です。とはいえ、これがあるとないとでは、作業の能率がずいぶん違ってきますが、どうです?」
「ほう、そういうことなら話を聞いてもいいかな」
「ええ、では、かくかくしかしかまるまるうまうま」
隆也の口から語られるのは、思考制御と高速思考に関する説明。思考制御による集中力の底上げおよび集中をON、OFFを任意で行えるようになること、思考高速化により思考速度を格段に高速化することができること。
それを語るのが他の人間であれば何かうさんくさい能力開発系セミナーのお誘いか、それとも脳外科での脳改造を疑うところだが、相手が相手だ。小塚は大いに興味をそそられ、その口車にのって、以上の二つの特殊技能を取得することになった。
その結果が、今の彼である。
「以前であれば一日かかっていた書類仕事が、たったの2時間で完了か、彼には感謝の念が尽きないが、どうせならもう少し早くからこの力が欲しかったな」
それにしても立花隆也、ますます彼には謎が増えてしまった。何せ、他人にこのような能力を付与できるのだ。およそ人間離れしているとは思っていたが、まさか本当に人間を止めているような能力を持っているとは夢にも思っていなかった。
この件を下手に漏らすと、彼は間違いなく帝国軍の特殊能力開発セクションに拉致られてしまうだろう。日本帝国民に眠る、普段なら開花されることなく朽ちていく能力を開発する、その名目の上で行われる研究と実験はそれなりに過酷なものらしい。
大戦以前は本当に非人道的な実験が行われていたらしいが、今では定期的に査察も入り以前ほどの闇はなくなったが、それでも決して表舞台に出ることがないセクションだ。やっていることは推して知るべしだ。
もっとも、小塚は知らないが、隆也はこのセクションの存在をすでに知っており、過去の歴史も含めてそのあり方に憤慨して、裏で暗躍しほぼ無害化している。今では効率の良い教育方法の開発機関に成り下がっていたりする。ちなみにこれは、将来的にマブレンジャーたちが目をつけられたことを考量した場合の対処も込みでの判断である。
「それにしても耀光計画、彼のアイデアがのおかげで、拡張性、発展性は十分に確保されているようだな。この機体なら、改修を重ねればかなりの耐用年数を誇る良機となるだろ」
小塚と隆也が一番懸念していた拡張性と発展性の余地のなさについては、隆也からの技術提供、および基礎構造の変更案を耀光計画が受諾したことで解決した。このまま行けば、世界初の第三世代にして、名機と呼ばれる地位を確立するのは確実だろう。
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