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マブラヴ 転生者による歴史改変
35話
(マブラヴオルタネイティヴ)
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帝国軍技術廠の奥まった場所に位置する特殊格納庫。
そこでおれは先進技術実証機撃震参型の製造指揮を執っていた。
なにせ部品が全て一品物なので、製造加工場である程度組み上がった部品を技術廠に運び込んで、そこで組み立てをしているだけなので、技術廠の設備だけで十分なわけだ。
「そのパーツは右足首の結合用関節パーツですね。あとそのカーボンチューブはその右足とつま先部分のパーツの関節保護機能及び衝撃吸収をもっているものです」
「わかった。ところでこの機関はいったいなんなんだ?」
ごついがたい揃いの帝国軍技術廠13特殊実証実験部隊のなかでも、格別のがたいといかにも職人と言った雰囲気を纏わせる安国整備班長が指し示したのは、重力偏差型機関だった。
簡単に言えば重力がある空間においてほぼ無補給に近い形での動力を得ることができるという反則級の機関だ。問題点としては、重力が少なくなれば少なくなるほど出力が下がっていくのだが、それについては特殊な触媒を使用することでカバーすることができる。
ぶっちゃっけ、先進技術実証機撃震参型は破格の能力を得る代わりに、通常の燃料電池式だと駆動時間が2〜3時間程度となるため、このような動力機関を導入する必要があるのだ。
「試作型のエンジンですよ。ブリーフィングで話したとおり、この参型は異常なまで能力を持つ代わりに、燃費が悪いんですよ。そのために、燃料電池ではなくてエンジンで駆動するんです」
「ほう、なるほどな。こいつがそのエンジンか。出力はどの程度なんだ?」
「一万馬力くらいですかね」
「ほう、一万馬力か…ん?一万馬力?」
「機体の重量とか考えると、まあこれくらいあれば十分かな、と思ったんですが。どうせなら10万馬力くらいはほしいですよね。アトム的に」
「ちょ、ちょっとまってくれ、立花訓練兵。一万馬力って、本当か?」
「いやだな、整備班長。嘘をつく意味なんてないじゃないですか」
「いや、それは確かだが。信じられん…撃震弐型の出力なんて、こいつに比べたら赤ん坊同然じゃないか」
呆然と呟く安国整備班長を横目に、おれは組み立ての指示を飛ばしていく。
まあ、考えて見れば前世での戦艦大和の主機関が15万馬力程度らしいからな。その15分の1と考えれば、破格だよな。
などと考えながら、だんだんとその姿を現しつつある先進技術実証機撃震参型を見つめた。
撃震弐型と比べると、一回りほど大きい印象を受ける。主機関を取り替えた事やら、気増幅機関を2機積んでいることを考えると、この程度ですんでよかったというところか。
ちなみに重量は40%以上増加しているが、主機の出力が半端じゃなく向上しているため大して問題になっていない。
推進剤の無駄食いとか気になるかもしれないが、あまった主機の出力を利用する改良型ターボファンエンジンとのハイブリッド型の跳躍ユニットを搭載しているため、航空機動時間の問題については解決済みである。
ぶっちゃけると、まりもとかだと気増幅機関を利用した飛翔術により、推進剤の消費なんて考えなくてもいいのだが、一般兵には無理な相談だ。
付け加えるなら、気増幅機関も本来なら必要のない機関だが、ここはそれ、初陣を迎えるまりものための機体なのだ。万全を期したものにしたい。
言ってみれば、身内びいきの機体なのだが、それ以外は構想にある撃震伍型とほぼ変わりない。
ちなみに、通常ペースで技術革新が進んでいったところで、この撃震伍型が作られるだけの技術蓄積ができるまでは20年以上かかるだろう。うーん、我ながら無茶苦茶だな。
そんなこんなで、先進技術実証機撃震参型の組み立てについてはある程度目処がついたので、おれは専用シミュレーターの設置と調整に向かった。
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