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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その9
(マブラヴオルタネイティヴ)
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 「スパイク1、致命的損傷、大破」

 「柿崎大尉ーーー!」

 管制官の告げる宣告に、第二中隊の隊員が声をあげた。
 戦況開始わずか1分もたたないうちに放たれた120mmが、第二中隊隊長柿崎真一大尉機の管制ユニット付近を直撃したのである。

 「ばか固まるな。動け!」

 副隊長である第二中隊第二小隊の広中竹蔵中尉の警告はすでに遅かった。
 続けざまに放たれた二発の120mmが、スパイク3の頭部ユニットと、管制ユニットに着弾、無残にも機体を粉砕する。

 「スパイク3、致命的損傷、大破!」

 一瞬にして第十三大隊の精鋭2機を仕留めた機体の搭乗者、神宮司まりもは次に狩るべき獲物を探すが、現在位置からの狙撃できるような機体はすでにいない。
 皆無数に乱立するビル群の影に身を隠したのだろう。仕方なくまりもは現在地で狙撃を断念し、そしてあろう事か敵陣中央へと単独での吶喊を行った。

 「いつまで惚けている、貴様ら。新人があれだけ活躍しているんだ。我々も続くぞ!」

 その光景に一瞬我を忘れて見入っていた第一中隊の隊員に、第一中隊隊長渡辺美咲大尉が発破をかける。
 彼女は日本帝国軍では珍しい女性衛士である。しかし第一中隊の隊長を努めるほどの歴戦の猛者でもある。その瞬時の判断能力と状況把握能力は抜群だ。

 「「はっ!」」

 「フライヤー1、神宮司まりも少尉か、確かに衛士養成学校卒業仕立てとは言えない腕前だが、単独の特攻でどうこうなるほど我々の仲間は安くないぞ?」

 独りごちる渡辺大尉だったが、すぐにこれから行われる一方的な蹂躙劇に目を奪われることになる。

 「は、速い!なんだ、なんであんな高速機動でビルの間を駆け抜けられるんだ!?」

 「スパイク9、左腕損傷、中破」

 ビル間をまるで稲妻のような機動で走り抜けるまりもが駆る撃震弐型。
 迎撃のために36mmをばらまくが牽制にすらならない。速度を落とすどころか、ますます加速してスパイク9に襲いかかると、右手に握った八十九式近接日本刀で左肩ごとごっそりとこそぎ落としていく。
 エレメントを組むスパイク10が36mmで、止めをさそうとするまりも機を狙うが、まるで弾道が読まれいるかのように全て避けられてしまう。

 「くそっ、あたらねえ、なんなんだ、あの動き。人間の動きじゃねえ!うぁ!?」

 「スパイク10、管制ユニット破壊、致命的損傷、大破」

 まりも機の左手に握られた八十九式滑空砲で反撃、スパイク10のど真ん中、管制ユニットを打ち抜く。しかもスパイク9を相手取りながら、まるで二つの視界を持つかのごとく的確にスパイク10を撃墜したのだ。
 その光景に、シミュレータールームの小塚次郎少佐がうなり声を上げる。

 「凄まじいな。確かに以前見たデータでは、実際に複数目があるかのような動きをしていたが、実際に目の前でやられるとなると、正直、自分の目を疑うな」

 「いえいえ、あの程度は少尉にとっては序の口ですよ。むしろ、慣れない戦術機戦なんで手こずっているみたいですね」

 「慣れない?というか、あれで手こずっているだって?」

 「はい」

 一応まりものCP役のはずの隆也だったが、仕事らしい仕事をせずに小塚が見つめるモニターを一緒になって見ていた。

 「養成学科での訓練は主に対BETA戦を想定したのものが殆どで、対戦術機、つまり対人戦を前提の訓練は殆どおこなっていないんですよ。割合で行くと9:1くらいですか」

 「なんだと?なぜそのような偏った教練を?」

 「戦術機は人類の刃であり、BETAを屠るための牙です。それに対人戦と対BETA戦では戦闘前提自体が変わってしまいますからね。前線で少しでも長生きするためには、その方がいいんですよ」

 前提条件というのはいろいろと挙げられる。

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