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遊戯王GX 正直者の革命
第二十二話 虎 (SAN値がガリガリ削れてしまいそうだったので今回は多少内容を変更してお送りいたします)
(遊戯王GX)
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 明け方、日課のランニングをしていると突然、七星門の鍵がほのかに光を帯びた。
 鍵は、旭先輩がセブンスターズとデュエルをしているのだと、俺に教える。場所はおそらく、方角的に、森のほう。
 といっても、この鍵から伝わってくる感覚はものすごくアバウトだから、詳しい場所は分からない。
 近くに行けばどのあたりか分かるだろうと思い、俺は森のほうへと急いだ。
 そして見つけた。
 
 闘技場《コロッセウム》を。
 流石に思考が停止した。
 湖上に城が建っていた時も驚いたが、今回は少し違う。
 建設中。
 生徒達の手で、建設中だった。

 おかしい。絶対におかしい。

 しばらく唖然としていたが、我に返り、慌てて闘技場《コロッセウム》の中へと急ぐ。
 俺が突っ立っている間に、既に鍵は光を放つのをやめている。決着がついたようだが、どちらが勝ったのかは分からない。
 闘技場《コロッセウム》の中に到着する。
 到着したところまでは良かった。
 その瞬間、俺の目の前に、一匹の虎が飛び出して来なければ。

「うわぁぁっ!?」

 俺が尻餅をつき、とっさに腕で顔を覆った。
 
 が、虎は俺の上を飛び越えていった。

「な、何だったんだ、今のは............」


「お、三沢、来たのか」

 頭上から、先輩の声がして振り返ると、どこか疲れたような様子の先輩が立っていた。胸元には、七星門の鍵が光っている。

「良かった、勝ったんですね」

「当然だろ?楽勝だよ、楽勝」

 とてもそうは見えないけど、多分、大丈夫だろう。
 カミューラの時、デュエルが終わった直後に倒れたのに比べれば、立って歩けるだけましだ。
 というか、先輩の心配なんてしてる場合じゃない。

「先輩、今の虎は?」

 もし人食い虎だったら............最悪だ。

「ああ、あいつは飼い主と一緒にアマゾンにでも帰っただけだ。心配ねーよ。
 あ、そうだ、三沢、せっかくだし、俺の部屋寄ってかね?」




 初めて入るということもあり、あの《・・》先輩ということもあり、俺は緊張していた。
 そして、俺は先輩の部屋に入った瞬間、度肝を抜かれた。

「この、壁一面に並んでいる金庫は何ですか?」

 旭先輩の部屋の壁の片側には、漆黒の物々しい金庫が積み上がり、部屋を圧迫していた。

「ん、そういえば三沢はこの部屋に入るの初めてか。万丈目はよく来てるんだけどな。
 それは俺のカード資産だよ」

「はぁっ!?こ、こんなに!?」

 全部で十二個もある。

 俺もそこそこカードを持っているつもりだったが、さすがにここまで多くは無い。

「ほとんど中身入ってないのもあるけどな」

 そう言って先輩は、手慣れた様子で金庫を開けて、中のカードをいじり始める。

「えーと、これとこれと............こいつもか。残りは俺のデッキのほうから出すとしてっと。こんなもんか。
 三沢、まだ朝飯まで少し時間あるし、遊ぼうぜ」

 ソファーに座った先輩は、テーブルにカードを並べる。

「いいですけど、何で?」

 テーブルの上にあるカードは、せいぜい30枚くらい。デュエルをするというわけでもなさそうだ。
 詰めデュエルかとも思ったが、デッキもエクストラデッキも用意されているから違うはず。

「ただのお遊びだよ、お遊び。
 テーブルの上に用意したのは、今日のセブンスターズとのデュエルで使用されたカードだ。で、お前はセブンスターズが使った方のカードを使う、と」

「なるほど、つまり、今日のデュエルの再現をしようというわけですか《・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・》」

 用意された手札、デッキ、エクストラデッキで展開を予測する。
 
 まさに遊びだ。

「ああ。今回は割と予想しやすい感じだったからな。学園一の頭脳を誇るお前ならいけるだろ。やるか?」

 いつも通り、にやにやしながら聞いてくる。
 つまりこれは、俺への挑戦、という訳か。

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