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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その11
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1993年9月 インド後方支援基地 発令所

 日本帝国陸軍九條雅臣少将は、用意された席でそのときを待っていた。
 そのとき、すなわちスワラージ作戦の発動命令だ。
 彼は五摂政の生まれながら、斯衛へは進まずに帝国陸軍に入った変わり種だ。
 当然当初は周りの猛反対もあったが、本人が頑として譲らないこと、上に兄が3人もいること、などもろもろの理由から結果的に陸軍への入隊が許可された。
 高いカリスマ性を持ち、決断力、戦局状況判断能力にも優れる彼は、あっという間に指揮官まで上り詰めた。
 その後はその能力を生かして地道に戦功を重ねて現在の地位に至る。たとえれば、血筋と能力を併せ持った文句なしのサラブレッドといったところだ。
 そんな彼でさえ、今回の作戦に挑むに当たっては胸が高鳴るのを押さえられなかった。人類戦力を結集させたスワラージ作戦。その作戦に日本帝国軍の代表として参加するのだ。

 「俺にもまだこんな思いが残っていたか。だが、それでいい。この熱い思いがある限り、BETAなどにはこの世界を渡しはしない」

 独りごちる九條の声は、国連軍インド方面軍指令の演説によりかき消される。
 この場に挑む全ての将校が押さえがたい胸の高鳴り、緊張を抱いているのがわかる。誰一人冷静さを欠いていないながらも、極度の興奮状態にあるのだ。
 そして時は満ちる。

 「それでは本日08:00より、スワラージ作戦を開始する。各軍担当者におかれては、作戦概要の最終確認をよろしくお願いする。我ら人類に勝利を!」

 「「「勝利を!」」」

 声が場内を満たし、ついにスワラージ作戦が始まる。



1993年9月 インド後方支援基地 帝国軍領域

 「出動命令が出た、第十三戦術機甲大隊各機、告げる。ポイント3042にて集合後、第二連隊所属の第七十一大隊、第三十二大隊との合流を果たす。機体の最終調整が完了し、九十三式電磁投射砲を受領した機体から順次発進すること、以上だ」

 「「「了解」」」

 小塚次郎少佐は号令を発すると、自身の機体を固定を解除するといの一番に九十三式電磁投射砲を受け取る。両腕で保持しなければいけないほどの重量だが、その威力はすでに検証済みだ。
 戦術機ハンガー内は戦場だった。これから出撃する機体は最終調整を終え次第、次々とハンガーを後にしていく。
 整備兵の出番はここまでだ。後彼らにできるのは、己が果たした仕事の結果が少しでも衛士たちの命を長らえることを祈るだけだ。
 そんな慌ただしいハンガーを悠々と後にすると、小塚少佐の駆る撃震弐型はカタパルトデッキに進み、そのまま発進の準備に入る。

 「ご武運を!」

 「ああ、行ってくる」

 カタパルトデッキの管制官に声をかけ、一瞬にして巡航速度まで引き上げられた機体がカタパルトから飛び出していく。
 それに粛々と続いて発進していく第十三戦術機甲大隊の面々。
 そんななか、第十三戦術機甲大隊に所属しながら特別な待遇を受ける一機の戦術機だけはいまだハンガー内にいた。

 「よし、先進技術実証機撃震参型に追加武装、準備はばっちりだ。まりもん、後はお前次第だ」

 「もう、だから今は軍務中なのよ。神宮司少尉でしょ」

 半ば諦めたように毎度の台詞を口にしながら、まりもは先進技術実証機撃震参型の各状態をチェックし、全てが問題ないことを確認していく。
 機体状態は極めて良好。さすが隆也、と内心では思いながらも、口には出さない。長い付き合いで、口にすればするほどつけあがるのが立花隆也という人間なのだと言うことを嫌と言うほど知っているのだ。
 この間もこのようなやりとりがあった位だ。

 「まりもん、エッチしようぜ、エッチ」

 「も、もう、なに恥ずかしいことを口にしているのよ。前から思っていたけど、隆也くんには雰囲気作りというか、心配りが足りないのよね」

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