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〜Lost Serenity 失われた平穏〜
三話 視点者 海樹 「せめて……詫びぐらい入れたかった」
(オリジナル(バイオテロアクション))
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『12月15日 斬谷 海樹《きりや かいじゅ》』


「で、今日は何を買うんだ?」

 茶色い髪にそこそこ顔立ちの整った青年がハンバーガーを食べながら、海樹は聞いた。

「とりあえず、服とアクセ、クリスマスも近いし」

 同じてテーブルでハンバーガーを食べている姫川 詩織は白いワンピースに下には寒さ対策レギンスを着ている。今日は日差しもありそこまで寒く無かった。

「クリスマスつってもどうせお前今年もオレん家だろ?」

 ハンバーガをテーブルに置きコーラを飲む。

「オシャレしていかないとお母さんがうるさいの、海樹の家行くならって」

「別にオレ彼氏じゃないのにな」

 周りを見ると、手をつないだカップルがゴミのようにいる、ショッピングモールの中はクリスマス商戦に挑んでるのか、服やアクセサリーの40%引きとかをやって人を取り込もうとしていた。
 各いう海樹たちもその割引セールに便乗し、ショッピングモールに来たのである。

「海樹も服とか買わなくていいの?」

「いいよ、別に、服なんか」

 海樹は面倒くさそうに言うと残りのハンバーガーを口に押し込む。

「そう言わないで、買うわよ、クリスマスくらいちゃんとオシャレしないと!」

「……わーったよ」

 二人が席を離れると、ショッピングモールを散策することになった。
 財布を確認すると、現金が結構残っており、金がないという理由で詩織の攻撃を回避できなかった。
 海樹はオシャレとかに興味がなく、これと言って趣味もないためか、月の小遣いも余っているくらいだ、逆に詩織はあまり活動的ではないが、衝動買いが多く月末はよく海樹に泣きついてくる。見かねて海樹もついつい金を貸してしまうが一度も返ってきたことがない、海樹も半ばあきらめているがその額を合計すると笑えない金額になっている。

「オシャレって言っても、オレ何着てもダサいし」

「そんなことないから安心して、私がコーデしてあげる!」

 海樹は諦めを含んだ頷きを一度した。

 黒っぽい茶色い髪の毛は短めにして、そこそこの顔立ち特徴的なものは無く普通、黒いダウンジャケットを着て下はジーンズでカジュアルな服装している。

 中肉中背、容姿普通、成績普通、趣味は運動とゲームと読書、これもまた普通だった。

「って、聞いてるの?」

「ん、ああ、聞いてるよ、たしかフランスでバイオテロがあったとかなんとか、アメリカがサイバーテロで機能してなくて絶賛暴動中とかだったな」

「全く聞いていなかったのね……海樹はどんな服着たいの?」

「そうだな……」

 わずかに沈黙が走る。

「黒系で頼む」

「わかった、こっち来て」

 海樹は詩織に手を引かれ、歩き出した。

 海樹は詩織にコーディネートしてもらい、一式を買う事となった。
 すっかり日も落ち込み、帰り道をとぼとぼ歩いている二人は両手に買い物袋を持っていた。4つあるうちのひとつが海樹の服、残りの三つが詩織のものだった。

「沢山またかってどうせタンスの肥やしになるんだろ?」

「う……そ、それは……いらなくなった古着は売ってるもん!」

 詩織は的確に突かれて、言葉に詰まった。

「おい、それ絶対、元取れてねえよな? 今日なんかいオレの財布をご利用しましたか?」

 皮肉を混ぜながら、頭一つ小さい詩織を見る。

「返すって言ってるでしょ……」

「早くしてくれよ」

「細かい男は女の子に嫌われるよ」

 海樹は心で「細かいレベルの金額じゃねえ!」という毒づきをため息にして吐きだした。

「ねえ、海樹、好きな女の子とかいる?」

 詩織の突然の質問に海樹は、言葉が詰まった。詩織の目の奥が笑えていなかったこともあってか余計に言葉が出てこない。

「いや、いない……」

「ふーん、そっか」

「どうしたんだ、急に?」

「別に、なんでもない」

 急に詩織は浮かない顔をしたように見えた、夕暮れが落ち込み影暗くなったためかどことなく暗い。

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