■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
マブラヴオルタネイティブ-フォーアンサー
【第弐十弐話】二つのネクスト 二つの模擬戦
(マブラヴオルタネイティブ×アーマードコアフォーアンサー)
  [→]  【PAGE 1/4】
「よぉ…久しぶりだな」
「キャエーデ・・・」
香月の部屋に向かう途中、一週間ぶりに会う男、白銀が居た。
「この前までただのガキだった男が、一週間会わなかっただけでなかなかどうしていい面構えになったじゃねぇか。最前線の戦場はそこまで過酷だったか?」
覚悟を決めた、締まった表情の白銀に対して、キャエーデは代わらない薄ら笑いで問いかける。
「最前線?」
「あぁ。この一週間お前は『特殊任務』で『最前線』に行っていたことになってる」
「そうか・・・キャエーデ、オレはもう逃げないよ」
「・・・」
「自分の弱さを他の何かのせいにして、逃げることを正当化するなんてまねはもうしない。これはオレが選んだ道だ。最後まで、やり通してみせる」
「たとえ大切な仲間を失っても?」
「護ってみせる。でも、それでも失ってしまったら、そいつの分まで、オレが意思を継いで闘う」
「たとえ信頼した仲間をその手で殺すことになっても?」
「そんなこと本当はしたくないけど・・・それが必要ならそうする」
「たとえば、全てのBETAを倒した後、俺が第二のBETAになろうとしたらどうする?」
「そんなことさせない・・・でももしもの時は・・・オレがこの手でお前を殺す」
キャエーデが見透かすような目で白銀を見据える。
そんなキャエーデの視線を正面から受け止める白銀。
じっと見つめた後、キャエーデはフッと笑った。
「まぁ、精々頑張れや。英雄『白銀 武』!」
すれ違いざまに、白銀の肩をポンッと叩き、キャエーデは香月の部屋に向かった。



「白銀、帰って来たな」
「賭けは私の勝ちよ」
香月の部屋に入る。香月は詰まらなそうな表情で自らの勝利を宣言した。
実はこの二人、白銀が元の世界に帰った後、賭けをしたのだ。
『白銀が戻ってくるか来ないか』、と。
キャエーデは向こうの世界で首を吊る方に賭け、香月は、『一週間後に帰ってくる』と、いつ帰ってくるかまで指定した。
そして悔しいことに香月の言うとおりになった。
「それじゃ、約束どおり見せてもらうわよ?
アンタの・・・本当の本気を」
「予備パーツは造れたのか?」
「えぇ、安心なさい。コアパーツ以外は98%の再現率で複製できたわ。
こっちの世界の技術では100%の複製は不可能でしょうね」
「まぁ贅沢は言えねぇよ。相手はどうするんだ?」
「いつも通りA-01のつもりだけど?」
「せっかくメンバーも増えたんだ。新任どもの歓迎をしたいんだが・・・」
「A-01新任メンバーだけを相手にするの?A-01全員を相手取って全滅させるアンタなら勝負にならないじゃない」
「ん、まぁ・・・」
「まぁいいわ。模擬戦は二日後。いいわね?」
「5分だ」
「?」
「全身全霊をかけて、5分で殲滅する」
「アンタならまぁ・・・出来るでしょうね」
「話は以上だ。じゃぁな」
香月の部屋から立ち去るキャエーデの顔には笑みが浮かんでいた。



(キャエーデ中尉は何を考えているんだ・・・?)
PXにて、退院してきた築地と麻倉に笑顔で自己紹介しているキャエーデを見ながら伊隅大尉は思考する。
新OSに変えて最初の模擬戦では辛くも引き分けに持ち込めたが、二回目以降はやはり全滅させられる。
戦闘時間は長くなったがやはりブレードのみでやられてしまうのだ。
そんな男がA-01の新任(涼宮 茜・柏木 晴子・築地 多恵・麻倉 燐・榊 千鶴・御剣 冥夜・珠瀬 壬姫・鎧衣 美琴・彩峰 慧・白銀 武の計10名)
を相手にしたところで結果は見えている。なのに何故・・・?
「ん?伊隅大尉、それ食わないならもらっちゃうぜ?」
―――ヒョイ―――
一瞬で伊隅大尉が大事にとっておいたおかずが皿の上から消える。行方はキャエーデの口の中だ。
「おぉ、うめぇうめぇ」
「キャエーデ中尉…貴様…貴様アアァァ!!」
あぁやっぱり、この男はきっと何も考えていないのだろう。

  [→]  【PAGE 1/4】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る