■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その19
(マブラヴオルタネイティヴ)
  [→]  【PAGE 1/3】
 「同時に相手できるBETAの数?そうだな、状況によるな。例えばだ、エレメントを組んだ最低単位でも、相手BETAにレーザー級がいない構成だったら、数十匹は軽くあしらえる。ん?レーザー級ありでしかもエレメントを組まずに単騎でやりあった場合?そうなると話はまるで変わってくるな。そもそも最小行動単位である2機連携を必ず守るように徹底されているのは何でだと思う?そうだ、互いに相手をフォローしあうことにより、死角をなくしBETAからの攻撃を受けないようにするためだ。それが単騎になるとどうなると思う?考えるまでもないだろう。一人の人間がもつ死角ってのは半端じゃない。エレメントを組んでも完全にカバー仕切れないのに、単騎だとなおのことだ。遠距離で徹底的に距離を置いて戦って、せいぜい7〜8体、近接になるとそうだな3〜4体がせいぜいじゃないか。レーザー級に制空権を握られている時点でそれだけ相手取れたらまあ一人前だろう。エレメントとレーザー級の存在、この2つの要素はBETA戦においては欠かすことが出来ないものだな。え?一機で数千のBETAを屠ることが可能かって?それは無理な注文だな。現在最高性能の一画と言われる撃震弐型でもそんなことは不可能だ。もしそんなことが出来るんなら、裸で基地内を逆立ちして一周してやるよ」

 ポパール作戦開始前に行われたN帝国軍K少佐のインタビューより



1993年9月 ポパールハイヴ周辺 スワラージ作戦最前線(ハイヴ北部域)

 迫り来るのは10万のBETA、立ち向かうのはたった一機の戦術機。
 絶望的な戦力差。
 圧倒的な物量差。
 だが、しかし、戦術機に乗る衛士の心は澄み渡っていた。
 目的は殲滅ではなく、遅滞戦。
 ハイヴ反応炉の破壊までの間、BETAを引きつけていればよい。
 光学モニターに映し出される突撃級の姿が徐々にはっきりとしてきた。
 通常兵装の射程圏内まであと数分と言ったところだろうか。
 津波のように押し寄せてくる突撃級の前に、一機佇む戦術機、その名は先進技術実証機撃震参型。
 現存する人類の作成した全ての戦術機を上回る性能と打撃力を持つその機体。戦術機の開発に携わるものがその設計図を見れば正気を失いかねないその技術の粋。
 その全ての性能を知るものは片手で足りるほどしかいない。
 そしてそれを駆る存在。
 帝国軍技術廠所属神宮司まりも少尉。
 地球上に存在する、そして今まで存在した全ての衛士を足下にすら寄せ付けない、人類の究極を突き進む一人。
 これより始まるは、最強の戦術機と最高の衛士の競演。無数のBETAをすら寄せ付けない演舞。
 さあ始めよう。この愚かしくも惨たらしい戦いに最後の華を添えるために。

 「さて、始めるわよ、MOS」

 「承知しました」

 今、幕が上がる。



1993年9月 ポパールハイヴ内

 「下層の中盤まで突破、これより下層の終盤にさしかかる。各自周囲警戒を厳とせよ」

 「「「了解」」」

 あっけないほど簡単に人類のハイヴ攻略深度記録を塗り替えたソ連特殊戦術情報部隊は、さらなる記録更新のために歩を進めていた。
 足下に転がるのはBETAの死骸。
 全ては切り刻まれるか、破裂したかのように原型を留めていないものばかりだ。
 自分たちがたどり着いたときはすでにこの状況だった。

 「支援者…何者だいったい。目的は一体何だ?」

 リサー1が何度も繰り返して考える疑問の答えは出ることはなかった。

 「リサー1後方からBETAの進行する振動を検知…あれ、反応消えました」

 緊急の通信が入ったと思ったら、尻つぼみになる。ここにくるまでに何度か繰り返されたやりとりだ。

 「支援者よりリサー1へ。背後よりきたBETAはこちらで潰しておいた。安心しして前進してくれ」

  [→]  【PAGE 1/3】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る