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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その16
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1993年9月 ポパールハイヴ周辺 スワラージ作戦最前線(ソビエト連邦特殊戦術情報部隊展開地域)

 まりも機が大暴れしてから1時間後に、フェイズ二からフェイズ三への移行が宣言された。そしてそれからさらに約1時間後、HQから作戦経過報告が告げられる。

 「フェイズ三順調に推移中。地表に残存するレーザー属種の90%以上の排除が完了と推測されます。これより300秒後にフェイズ四に移行します。繰り返します、これより300秒後にフェイズ四に移行します」

 空から降り注ぐM01搭載型多弾頭ミサイルがBETAを容赦なく駆逐していくのを背景に、HQからの報告を聞いていたソビエト連邦特殊戦術情報部隊の隊長、コードネーム「リサー1」は自部隊に課せられた作戦の開始を宣言する。

 「リサー1より、各部隊に告ぐ。これよりハイヴ突入作戦を開始する。本作戦の目的はBETAとの意思疎通および情報入手だ。全てをおいても任務を完遂せよ。なお作戦遂行部隊は中隊単位とする。有効な情報を入手した場合は速やかに帰投し、本国作戦本部への情報伝達を最優先とする、以上だ。なにか質問は?」

 「…」

 「ないようだな。よし、同士諸君、偉大なる祖国のために、命を賭けろ」

 「「「偉大なる祖国のために!!」

 統制の取れた動きでF−14 AN3 マインドシーカーが次々とハイヴへと突入していく。
 その中にあって、アフツァー中隊を率いるラリーサ・ドゥヴェ大尉、コードネーム「アフツァー1」は、静かに自部隊の突入の時を待っていた。
 やるだけのことはやったつもりだった。が、現実は非情だった。彼女の未来予知は全て己の死で彩られていた。静かな絶望の中、しかしそれでも生き抜こうとする意志を持てたのは、初めて祖国以外で守りたい者が出来たからだろう。
 他の同士に知られれば、ソ連軍人失格のそしりを受ける惰弱さだったが、それは今の彼女の支えだった。103と呼ばれる第四世代の子供。それを助けるためだけに、彼女は約束された死地へと向かおうとしていた。

 「アフツァー中隊、次に突入だ。準備は良いか?」

 「はい、問題ありません。中隊各員、行くぞ!」

 「「「了解」」」

 部下達の声を聞き、ラリーサは静かにマインドシーカーを移動させる。ここから先は死に彩られた空間だ。果たして部下もどれだけ生き残れるのだろうか。そう思いながら、彼女はハイヴへの突入を開始した。
 その姿を興味深げに観察する者がいるとは知らずに。



 立花隆也はようやく探し当てたソ連特殊部隊の展開地点を観察できる位置に陣取っていた。ちなみにまりもはあの後、2度の無双を見せつけ、キルスコアは5000を超えていた。

 「うーん、自身思考反映がプロジェクション、他者思考観察がリーディングっていったところか。能力的には全員がLV4、高いのか低いのかよくわからんな。それにしても、気になるのはあの予知能力を持っている衛士だな」

 他者能力閲覧で遠く離れた戦術機に乗っている人間の能力すら丸裸にすることが可能になっていた人外隆也は、参加する人員の能力を計測していた。元々オルタネイティブ3の情報は入手してあるので、プロジェクション、リーディングについての対策のために「精神干渉無効」を取得済みである。彼の思考をAL3の能力者に読まれる事もないだろう。
 そんな中にあって彼の注意を引いたのは、予知能力を持つ衛士。ラリーサ・ドゥヴェだった。AL3の計画の性質上から予知能力者の研究は行われていないはずだ。
 ならば彼女はたまたま紛れ込んだだけの超能力者か、と思ったが、なにせ彼女もプロジェクションとリーディングを持っているのだからよくわからない。LVは2と低く、代わりに戦術機の操作技能に優れている。
 今ひとつ素性がわからない。が、それよりもなによりも気になるのが、部隊員全員に付いているAL因果律だった。

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