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キューティクル探偵因幡〜もう1人の兄弟〜
第3話 (番外編)雅人と凛の出会い…
(キューティクル探偵因幡)
少年は、1人立っていた。

深い雪に体を埋めて。

____寒い… 体が思い通り動かないや…

少年は、死を覚悟した。

どうせ父親に捨てられた命だ。消えても良いんだ…

少年の意識はドンドン薄れていった。



「ん!」
少年は、目を開ける。

その部屋は、どこかのマンションらしく部屋が明るい。

ガチャ…


ドアが開いた。

少年の視線は、ドアに釘つげになった。

「あっ?起きた?」

緑髪の女の子が洗面器を持って言った。

少年に近付くとマジマジと女の子は少年を見た。

「良かった…」

女の子は、微笑んで言った。
「どうして?」

女の子は少年の体をバシッと叩き言った。

「あんたね…冬の野原に倒れてたんだよ!
もう少しで凍死する所だったんだから!」

少年は、少し反省した。

「ごめんなさい…」
少年は謝る。

「別に、良いんだけど…」

次は少年が女の子の顔をマジマジと見た。

緑髪の女の子は、どこからどう見ても美少女だ。

「あなたの名前は?」


「ボクの名前は、雅人、深江雅人。」

少年は、深江の所で少しためらった。

「私の名前は、凛…」

「名字は?」

少年は首を傾げ、聞いた。

「ないわ…捨てたの…」

凛は、笑って言った。

だけど、その笑みは不安が混ざり合っていた。

「フーン…」

雅人は、軽く応えた。

「それより、あなたもかわいそうね…親に捨てられるなんて…」

少年は、驚いた。

まだ、話していない…

親に捨てられた事なんて…
捨てられて死にかけた…
そして、この子に拾われた。

____別に、ボクはペットじゃないっの…

「あら?拾わなかった方が良かったかしら?」

雅人は、体をギクッとさせた。

「なんで、分かるの?」

凛は、微笑んだ。

「私の能力だから…」

「能力…?」

凛はただ微笑んだ。

何も雅人には、分からない…

だけど、雅人は感ずいた。

____ボクよりずっと…ずっと…辛い経験をしたんだ。

「そうよ…私は、あなたよりずっと…ずっと…辛い経験をしたんだよ…」

辛い経験…

親に捨てられた…

それより辛い経験…

「凛ちゃんは、何歳なんだ?」

雅人は凛に質問をした。

「私?私は、12よ…」

「ボクと一緒だ…」

凛は、うなずいた。

「雅人くんは、お父さんを憎んでる?」

凛の唐突な質問にビックリしたけど、すぐに答えが出た。

「ハッキリ言うけど、憎んでる…」

「そうなんだ…」
凛は、少し残念そうな顔をした。

「どうして?」
逆に雅人が聞き返すと、凛は、言った。
「あなたには、まだ、相手の気持ちが分からないんだなと思ってね…」
____相手の気持ち??

「どういう事?」

雅人は首を傾げて言った。

「あなたが、私をキライになるかもしれないけど、良いか…」

凛は、微笑んで優しい声で言った。

「あなたが、家族を捨てるとしたら、どんなに悩む?」

「スゴく悩む、かな?」

少し目を細めて凛は、言った。

「もし、家族に危険があったらどうする?」

「すぐにでも、家族を自分と離すかな?」

凛は、正解と言うように手をパチパチと叩いた。

「ねえ、お父さんにも、そういう理由があったんだよ…
捨てられるより、スゴく辛いんだよ…
辛くても、頑張らなきゃいけないからね…」

____もしかして…


「凛ちゃんは、家族を捨てたの?」

「そうだよ…私は、兄弟を捨てたの…」

凛の瞳の悲しみの色は、ずっと…ずっと、雅人の瞳の中に宿っていた。


ーーー後編 続くーーー
作者: 9452 (ID:********)
投稿日:2013/05/20(月) 00:39
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