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魔法世界のあかい魔術師一家 旧
三話&四話&五話
(FATE×ネギま!)
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―――― 一 話 ――――
Side ガトウ
俺は今……目の前で起こったことが理解できずに居る。いや、出来る人物なんている筈がない。
見渡す限りは、剣、剣、剣、剣、剣、剣、剣の世界。
何だこれは!? 此処は一体何処だ!? 何が起こった!?
この小さな騎士の坊主は今、何をした!?
坊主が呪文を唱え終わると同時に炎が走り、炎に包まれた後には果ての無い剣の墓標と、世界を包み込む様な鮮やかな赤を思わせる夕焼けに浮かぶ数多くの星空。
「……此処、何処な……の?」
お嬢ちゃんも自分の身に何が起こったことが理解出来ず、不安顔をしている。無理もない。
俺だって未だ、自分の身に何が起こっていか理解出来ていないんだ。
「一体、……これは?」
俺は、俺とお嬢ちゃんを守る様に立ち塞がる小さな騎士に訊ねる。が、丁度――紅い騎士の坊主は魔族と魔物の大群に向かって、声高らかに宣言した。
「ご覧の通り、貴様たちが挑むのは“無限の剣”――――――剣載の極地!」
その声が、この世界に響き渡ると――地に刺さっていた剣が次々に浮かび上がる。
浮かび上がった剣の大軍は、全て此方に敵意を向けるモノに目標を定めている。
「さあ―――――恐れずして、掛かって来い!!」
小さな紅い騎士の号令と共に全ての剣が一斉に襲い掛かる。
それは正しく戦争。剣軍と魔群の……。
在る剣は一撃で敵を貫き、在る剣は一撃で首を刎ね、在る剣は敵を切り捨て、在る剣は複数で敵を仕留め、在る剣は折られ、在る剣は砕け、在る剣は消し飛び、在る剣は俺とお嬢ちゃんを守っている。
もし、これが紅い騎士の坊主の言う様に“無限の剣”ならば魔群に勝ち目は無い。
どれだけ消し飛ぼうが、折れ砕け様と……無限ならその果ては無い。ならば、勝ち負け等とうに付いている。魔群が勝つ為には、紅い騎士に此れを使わせてはいけなかった。
「さて、余り話している時間は無いが……質問に答えよう。この術は術者の心象風景を映し出す、魔術の到達点――魔法に最も近い大禁術。その名も【固有結界】と言い、これは私の心の風景――名を“Unlimited Blade Works”《無限の剣製》と言う。その人生を剣と化した男が到達した一つの世界。故に此処には全てがあり、何も無い」
「……なっ!?」
術者の心の風景を映し出すだって!? そんな魔法聞いたことが無い! いや、それ以前にこの紅い騎士の坊主は『魔法に最も近い大禁術』と言っていた。なら、これは魔法じゃなくてなんだと言うんだ!?
この紅い騎士の坊主は一体何者なんだ? 全てが俺の常識外だ、この坊主の使う魔法――【固有結界】なんて聞いたこともない。本当にこの紅い騎士の坊主は何者だ。
Side ガトウ end
Side 明日菜
凄い、私は目の前の光景を見てそれしか浮かばなかった。
今まで見てきた魔法のソレとは全く違う、魔法。
術者の心の風景を映し出すと言うソレは……余りにも現実離れした風景だった。
一番近いのはラカンのアーティファクトだろうけど、それとは違う。
上位魔族を一撃で切り伏せ、貫き、刎ね、討ち倒すソレは現実の風景なのかすら疑いたくなる光景だった。
ナギが居れば、目の前の光景に心躍らせて居たのかもしれない。
アルが居れば、彼の人生を収集したがったかもしれない。
詠春が居れば、余りの非常識さに逃避に走ったかもしれない。
ラカンが居れば、彼と張り合おうと勝負を挑んだかもしれない。
タカミチが居れば、彼に師事を仰ぐかもしれない。
クルトが居れば、彼に色々な質問をぶつけたかもしれない。
分かっているのは、彼はこんなにも凄い力で私達を守ってくれる。それはだけは、不思議と理解出来た。
だから、私は彼にこの世界のことを聞きたくなった。
「ねぇ、なんでこの世界はこんなにも悲しくて、温かいの?」
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