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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その38
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 九州防人基地
桜花作戦開始を翌日に控え、基地には日本帝国所属の日本帝国大陸派兵部隊第十三戦術機甲大隊が待機していた。
彼らの愛機である撃震参型は、すでに陸上輸送艦「疾走」に詰め込まれて、最後の微調整をおこなっている。
なお、疾走にはちょっとした整備機能もあり、整備兵も一緒に搭乗することになっている。その積載量は破格で戦術機を36機つまり大隊規模を詰め込みながらも、地上2メートルをホバーし、時速500Km/hで飛び回る。
これが実戦投入されれば、大陸の戦線に対する一大革命になることは想像に難くない。だがそれだけの能力を秘めるが故に、動力が必要とする燃料の消費量もハンパではなく今回の作戦で使用される疾走においても単独での稼働時間はわずか20分。
こんなものをどうすれば使えるようにするか、というのは、その疾走から大きく伸びる牽引ケーブルと動力伝達用ケーブルに秘密があった。
そのケーブルの先には、超弩級万能型機動要塞「雷雲」がどっしりと基地に着陸して構えている。
戦術機を16機搭載可能な上に各種武装は一撃で戦術機を破壊できるだけの威力を持つ物ばかり。AL4計画が生み出した化け物、それがこの雷雲である。
そして今回日本帝国から送り出される部隊は、この2隻のみ。
米国、ソ連が独自に支援活動を行うことが知らされているが、それは桜花作戦の直接のサポートと言うよりは、自らの国の利益を優先させるためにアトリエと呼ばれる、G元素の製造設備を確保するために派遣される部隊であるというのが、帝国軍の参謀本部の見方だ。
現に、米国とソ連からは桜花作戦の開始日時などの問い合わせは来ていても、詳細な情報の問い合わせはお飾り程度しか来ていない。
というよりは、アトリエのへの侵入マップ情報を渡した瞬間、問い合わせがなくなったのだからわかりやすいと言えば非常にわかりやすい。
まあ、日本帝国というよりは、裏の総合指揮者である香月夕呼に言わせれば、その方が都合がいい、ということだろうが。
桜花作戦開始の式典はしめやかに行われた。
作戦開始の12時間前には、本作戦に参加するものは全てこの基地を後にするからである。
九州防人基地には、首相をはじめ、軍のトップや国連の事務補佐官なども姿を現し、作戦開始の激励を行っている。
その様子を彼ら、マブレンジャー年少組は雷雲の特別ミーティングスペースで見ていた。
「あ、お父さん」
と呟いたのは、マブレンジャー年少組の常識派、マブレッドこと榊千鶴である。確かに画面には彼女の父である榊是親が映し出されている。
榊内閣の総理大臣として辣腕を振るっている。世論の情報操作などは完璧で高い支持率を誇る。
「壬姫のパパもいますよ」
と指さすのは、マブレンジャー全体のマスコットキャラ的存在、マブピンクこと珠瀬壬姫である。画面の端っこにではあるが珠瀬玄丞斎。非常に髭の形が特徴的な人物である。
「お父さんもいる?」
「いや、いる?じゃなくて、実際にいるだろう」
なぜか疑問系で、画面に映った自分の父である彩峰萩閣を指さす、マブレンジャーで随一の不思議キャラ、マブブラックこと彩峰慧に、貴重な突っ込み要員であるマブシルバーこと白銀武が突っ込む。
「あ、姉上…」
自分そっくりの姿が映し出されて、つい口から言葉が漏れだしたのは、マブレンジャー年少組の堅物こと御剣冥夜である。武家代表として挨拶を述べる煌武院悠陽の姿が画面に映し出されているのを、まぶしそうに見つめている。
政治的な駆け引きの上、次代の将軍候補第一位となった煌武院悠陽がこの人類史上に輝く作戦の式典に参加するのは当然と言えば当然のことであった。
だがそれ故に、この作戦が失敗した場合のダメージは無視できないものがある。それでもなお彼女がこの式典に参加したのは、この作戦に自らの半身が参加することを知っているからだ。
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