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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その39
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 中国大陸

 「あーるはれたー」

 ずいぶんと暗い歌を口ずさみながら、AL4計画の超弩級万能型機動要塞「雷雲」を操る立花隆也。
 牽引しているのは、日本帝国の陸上輸送艦「疾走」だ。

 「なんかその歌、洒落になっていないから、止めておきなさいよ」

 「え?そう?」

 雷雲のコントロールルームで作戦指示書を読んでいたまりもの言葉に、隆也が驚いたような反応を返す。
 自分的には、この場にしっくりと来る音楽と信じていたのだ。まあ、往々にしてこの男の感性は常人とことなることが多いので今更ではあるが。

 「それって、荷馬車に積んでいる子牛を市場に送る歌でしょ?」

 「そうそう。でもな、それは見解の相違という物だよ」

 「見解の相違?」

 「そう、市場と言っても、市場で売られた子牛達が不幸になるとは限らないだろう?」

 「まあ、そうだけどね」

 一理ある、とばかりに首を縦に振る。

 「まあ、変態に買い取られて、ファックされる子牛もいるわけだが」

 「確定事項なの!?」

 「可能性の話だよ、まりもくん」

 「ドンだけ少ない可能性なのよ…」

 あきれた目で見つめるまりも。ちなみにここ、コントロールルームは基本戦術機の管制ユニットを元に作られているのでそれほど広くはない。
 とはいえ、撃震UL用に改造されているためその内部の広さは、大人2人程度であればそれほど窮屈さは感じない。
 要塞の名を冠するように、雷雲には搭載戦術機の搭乗者、および駐在整備員などのためのミーティングルームや、ちょっとしたリラックススペースを内部に持っている。
 そこに行かずに、わざわざこの狭いコントロールルームにまりもが隆也と引きこもっているのはなぜなのか?

 「それにしてもどうしたんだ、まりもん?なるべくおれと一緒にいたいだなんて?」

 「夕呼がね、珍しく真面目な顔をして、隆也くんの行動に気をつけておきなさい、っていうのよ」

 その台詞に、隆也があちゃー、といった顔をした。
 あの天才に情報を与えすぎたかも知れない、と今になって気がついたのだ。
 相変わらずのうっかり者である。

 「私の勘もそう言っているのよ…」

 囁くように言の葉を綴るまりも。
 その顔には憂いが満ちている。

 「この戦い、隆也くん、あたなになにかが起きるって。ねえ、心当たりがあるんでしょ、だったら!」

 「まあまあ、まりもん、そう慌てなさんな。確かに心当たりはあるが、大したことはない。そのためにマブレンジャーを勢揃いさせたんだぞ?今の実力なら、まりもんとマブレンジャー年長組だけでもオーバーキルのところを、年少組まで組み入れたんだ。いわば万全の体制を整えたんだ。何者のおれたちの前に立ちふさがる者はいないってばよ」

 「え?でもたしか、マブヘタレの孝之君は同伴していないわよね?」

 「え?」

 「え?ほら、『歴史介入の章その38』で、ここ読んでみて」

 「ふむふむ…をい、作者、ここナチュラルにヘタレのことがスルーされているぞ」

 え?ちょっとまってくださいね。えーと、あ、本当だ。
 みなさん、惑わされないでください。これは孔明の罠です。マブヘタレはきちんと今回の作戦に参加しています。
 従って、マブレンジャー達12機の一個中隊+まりもちゃんの撃震ALの変則中隊編成です。

 「というわけで、ヘタレは普通にアクアとエターナルの3人でまったりしているぞ、ほれ」

 隆也が呼び出すと空中に三次元立体型ディスプレイが浮かび上がり、3人の様子を映し出している。
 空中に三次元立体型ディスプレイを浮かび上がらせるこの技術、柊町では普通に見られる技術である。恐ろしいことに、柊町の市民はなんの疑問もなくこの技術に触れているのだ。
 そのため、柊町の住人が町外にでると、大抵その技術のレトロさ加減に感動を覚えるという。

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