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マブラヴSEED
79話 『解き放たれる白い悪魔』修正
(マブラヴオルタネイティヴ×機動戦士ガンダムSEED)
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その日、帝国帝都は穏やかな秋晴れに包まれていた。

冬も近づくこの月にこの暖かさは帝都市民には有り難かった。
しかし、その様な秋晴れにも関わらず内閣総理大臣の職務は忙しかった。

「この件に関しては国連と織り込み済みです。はい、解りました」

そう言い終わると榊首相は受話器を置くと嘆息した。

「全く……。斑鳩少将ももう少し考えてほしい物だ。まさか、ガンダムを横浜基地に置く事を承認するとは……」

そう秘書官に愚痴をこぼした瞬間、また電話のベルが執務室に鳴り響いた。

「やれやれ、今日は電話が多い日だ」

そう一人言うと榊首相は受話器を取り応対した。

「私だ」

そう言った、榊に電話の主、国防本部の長官が声を荒げて言い放った。

『首相、緊急事態です』

その慌て様にただ事では無い事を察した榊は瞬時に覚悟を決めた。

「何かね? アメリカが宣戦布告でもしてきたのかね?」

その冗談に何時もの国防本部長官らしくなく完結的に内容を述べた。

『九州方面にてコードレッド。軍団規模のBETA群が上陸、九州方面軍がこれと接敵。成果は芳しくない模様です』

一旦、区切ると国防本部長官は更に内容を付け加えた。

『それと、未確認のBETAが出現。対応は困難になりつつあると九州方面軍司令が対応をこちらに求めてきております』

その言葉に榊首相は冷や汗を流し問い掛けた。

「新種のBETAという事か?」

『はい。急ぎ対応を!』

「解った。緊急非常事態宣言を発令する。対策本部の設置を急ぎたまえ」

『は!』

受話器を置いた榊は秘書官に命じた。

「今日の予定は全てキャンセルだ。至急、大臣達と軍上層部を集めたまえ。緊急会議だ!」

「はい!」

その只ならぬ雰囲気に秘書官の仕事も早かった。


会議に集められた大臣と軍上層部は事の重大さに頭を抱えた。

「以上の様に九州方面軍の3分の1が壊滅しております」

その軍上層部の説明に大臣たちは青ざめた。

「馬鹿な!? あそこは帝国の最前線基地であり最高の兵装と最強の部隊を配備していた筈だ! それが小一時間で3分の1が壊滅!? 悪い冗談だ!」

大蔵大臣の言葉は正にこの会議の全員の思いだった。
何せ、先月間引き作戦を実行し数を減らした筈なのだ。

それが快足をもってBETAが進撃、更に“新種”まで投入とは悪夢である。

「それよりもだ……。問題なのはこの新種だ! 何だこのふざけた大きさは! 要塞級の数倍の大きさだぞ!!」

「映像ではどうもレーザーを照射しておりますな……。三つの首の一つにレーザー照射被膜が3つ、計9つのレーザーを機関砲みたいに乱射するとは……。それも重レーザー級よりも強力なレーザーを……」

そう、従来ならBETAの異常なまでの速い侵攻速度も脅威だがそれすら霞んでしまう程の脅威がこの新種だった。

榊首相は意を決して重い口を開いた。

「私の結論を言おう。スレイヤーズを全員招集、再結成しこれに当たるべきだと考える。皆さんの意見は?」

その言葉に誰も何も言わず押し黙った。

「沈黙は肯定と受け取るがいいかね?」

念を押す榊首相に誰も答えられなかった。

確かにキラ達を招集するのに躊躇いはある。が、この非常事態を解決できるのはスレイヤーズ、ひいては伝説の世代。さらに言えばキラしかいないのが実情であった。

この会議で各方面軍からの支援と増派スレイヤーズ派兵が閣議決定された。



その頃、キラはキラで斑鳩からこの事態を知らされていた。

『と言う訳だ。其方の謹慎処分は速やかに解かれる。謹慎処分が解除次第、其方は即時スレイヤーズを指揮し九州に向かってもらう。質問は?』

「スレイヤーズ全軍の招集は?」

『案ずるなすでに招集は完了しておる。ただ、“武”は別任務ゆえ参戦は無い』

その斑鳩の言葉にキラは噛み付いた。

「武も参戦させるべきです。この非常事態に別任務もクソも無い!」

その言葉に斑鳩も鼻白んだ。

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