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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その41
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 カシュガルハイヴ周辺

 「衛星軌道上に展開中の米国宇宙軍から緊急入電!」

 茜の緊迫した声が聞こえてくる。

 「どうした?新種のBETAでも出たか?」

 何の気なしに発言した隆也の発言に、茜が驚いたように目を見張り、そして頷く。

 「はい、新種のレーザー属種の出現を確認。その数およそ8体」

 「8体?それくらいいつも通りにM01搭載型ミサイルで蹴散らせばいいんじゃないの?」

 水月の声が通信に割り込んでくる。

 「それが、今回はAL弾の在庫一掃処理とばかりに、AL弾による重金属雲の形成による降下機動支援を行う予定だったようです」

 「それでも、たった8匹程度にあたふたするとは思えんが、何かあるのか?」

 冷静な分析をするみちる。そして茜はその声に頷くと、送られてきたデータを各機に転送する。

 「これは?…重金属雲を貫通するほどの超高出力のレーザーだと!?」

 みちるの声に驚愕がもれる。
 当たり前だ。一昔前の戦法とは言え、一時はレーザー属種の封じ込めに最も有効的だと言われている戦法が通用しないのだ。
 しかも重金属雲を吹き飛ばすほどのレーザーとは、一体どれほどの物か?想像することさえ出来ない。

 「むぅ、あれは!?」

 そんななか、隆也が呟きをもらす。

 「何かしっているんですか、師匠?」

 武が聞いてくるが、隆也は無視。そして再び、

 「むぅ、あれは!?」

 などと呟いている。

 「あれ、ねえ、師匠?」

 戸惑う武の声はガン無視。相手が男とはいえ、酷い扱いである。

 「はあ、A−12、こういうときはね、こう聞くのよ」

 なにかを諦めたように、まりもが武に声を掛けると、

 「知っているのか、雷電?」

 などと口に出した。

 (((雷電?)))

 A01部隊の全員に疑問符が浮かぶ。

 「うむ、あれこそは噂に聞く『ちょう重光線級』」

 「超重光線級?」

 (((噂にきいてんのかよ!)))

 A01部隊の全員が内心で総突っ込みする中、隆也とまりもの会話は続いていく。

 「あれこそは、BETAが凄乃皇弐型に対抗するために作り出した切り札」

 「な、なんだってー!」

 (((なんというー棒読み)))

 A01部隊の全員の心は一つになりつつあった。すなわち、呆れと諦めである。

 「それで、結局のところ、『雷雲』でどうにかできそうなの?」

 「いきなり素に戻るなよ。まあ、もともと対策を打たれることは織り込み済みだが、まさか8体とはな…」

 まりもが口調を元に戻すと、つられて隆也も元も口調に戻る。

 「で、師匠、その超重光線級というのは?」

 みちるがここぞとばかりたたみかける。

 「ああ、正確なところは分からんがおそらくこの程度のスペックを持っているはずだ。今観測衛星で詳細なデータを取得している」

 しばらく衛星からの情報収集を行い、そしてそれを分析にかける。
 分析に掛けると言っても、脳内シミュレーターでかつて発生を確認した新種のBETAとの相違点を比較する程度である。
 つまり、隆也にとってはすでにこの新種のBETAの誕生は予測されていたものであった。ただ問題があるとすれば、こいつが出てくるのは通常ハイヴを2つ落としたところで初めて生み出されるはずだったのだ。
 明らかに脳内シミュレーターよりも対応が早い。

 「これも因果律の調整か?まあいい、みんな、予測結果が出た。転送するぞ」

 みちる達A01部隊および、第十三戦術機甲大隊に対して新種のBETAである超重光線級の予測情報が転送される。
 それを見た瞬間、全員がぎょっとするのを押さえられなかった。

 「九個のレーザー照射膜!?」

 「順次発射することによりインターバルなしって!?」

 「体内に小型の反応炉を格納!?」

 「周囲のレーザー属種へのエネルギー提供が可能!?それによりインターバルを短縮可能!?」

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