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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その44
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 カシュガルハイヴ内部

 「全軍、全速前進DA!」

 威勢のいいかけ声と共に、雷雲を筆頭に第十三戦術機甲大隊、A01部隊が続いてハイヴの内部へとその身を投じていく。
 向かう先は無数のBETAが蔓延るBETA達の本拠地。その中でも地球最大規模のオリジナルハイヴである。
 誰もが緊張していた、誰もがこみ上げる憎悪を隠せずにいた、誰もが死の恐怖に脅えていた、そして誰もがこれからBETAへ与える一撃が人類の希望へと繋がることを信じていた。
 約1名を除いて。すなわち、平常運転の変態紳士である。

 「チェンジ、ラザフォードフィールド、スイッチON!」

 雷雲の中枢制御ユニットこと、撃震ULの管制ユニットの中で、隆也がかけ声と共に、ボタンをポチッと押す。
 もちろん、本来ならそんな事をする必要は無い。00ユニットと一部の並列思考を同化させた彼に取っては、雷雲の機能を動かすのにわざわざコンソールを叩くような真似をする必要はないからだ。
 だが、そんな味気ないことは、彼の中に眠るロボット魂が許さない。
 オタクは様式にこだわるのだ。様式美こそ、この世の真実、といって憚らない馬鹿者達ともいう。

 「ラザフォードフィールドの形状変化を確認、これは!?」

 管制室にいる茜の声が驚愕に揺れる。
 ラザフォードフィールドが形を変え、進行方向にいるBETAを潰すように蠢いているのだ。
 みるみるまにスクラップになっていくBETA。

 「ふははは、見ろ、圧倒的ではないか!」

 上機嫌な隆也。酷い光景である。
 通常の地上の戦闘とは違い、密閉された空間である通路上の戦闘ではラザフォードフィールドで通路をみっちりと覆ってやると、あっという間にBETAは前進することが出来なくなる。
 しかもなおたちの悪いことに、このラザフォードフィールドを展開している兵器は、移動してくるのだ。
 BETAには撤退という概念が無いため、ひたすらに突撃しラザフォードフィールドの前でミンチとかして行くのだった。
 言ってみれば、ある周期に起こるというレミングの集団自殺行動のよう、あるいはいい男にホイホイついていくノンケである。

 「とりあえず広間まではこの調子でいくぞ、後続の部隊には後方に注意するように言っておいてくれ」

 「あ、了解しました」

 そのあまりにも一方的な光景に言葉を失っていた茜が、隆也の指示により我に返ると味方部隊へ通信を開始した。
 味方であるはずの第十三戦術機甲大隊の面々は、前方に展開されるあまりにも圧倒的な雷雲の戦闘能力にあっけにとられていた。

 「なんだありゃ、一方的な展開だな」

 「ですね、初めてBETAに同情したくなりましたよ」

 小塚次郎中佐の声に、他の隊員が同意する。
 雷雲が通り過ぎたその背後には、無数のBETAだった物のなれの果てが広がっている。それも天井、壁面、床面と360度まんべんなくだ。
 限られた閉鎖空間とラザフォードフィールドを自在に展開して操る雷雲、はっきりって相性が良すぎた。むろん、雷雲にとってだ。

 「うーん、予想はしていたけど、流石にここまで一方的とは思わなかったわ」

 さすがのまりもも、ややびっくりしている。
 まあ、あの隆也と、あの雷雲のタッグである。これくらいはやるだろうと思ってはいても、実際に目で見るとその光景に圧倒される。

 「密閉空間でのラザフォードフィールドの使用とか、相変わらず鬼畜だな…」

 とこぼすのはヘタレである。

 「あと5分ほどで一個目の広間に出るぞ。流石に広間ではこの荒技は通用しないから、各部隊にハイヴ内戦闘の用意をするように通達してくれ。あと、ハイヴ内戦闘での肝は、行軍スピードだ。雑魚には目もくれず、事前にミーティングで確認しておいた侵入経路を最速で突き進むぞ」

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