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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その43
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 カシュガルハイヴ周辺

 「『インドラの矢』着弾を確認、衝撃波が数十秒後に到達するぞ、準備はどうだ?」

 「A−01部隊、第十三戦術機甲大隊共に全機指定ポジションに着きました。あとは衝撃波が通り過ぎるのを待つだけです」

 茜の言葉に満足そうに隆也が頷く。

 「そうか、なら大丈夫だな。後は、衝撃波で舞い上がったBETAが降ってくるかもしれないから、上空に注意するように指示を出しておいてくれ」

 「了解しました」

 隆也の指摘に茜が通信を行う。

 「これより数十秒後に衝撃波が来ます、各員注意してください。なお、衝撃波で上空に舞い上がったBETAが落下してくる可能性があるので、頭上に注意して下してください」

 「AL1、了解、おまえたち聞いたな。滅多にお目にかかることのない上空からのBETAの自爆攻撃だ。せいぜい注意しろ」

 「「「了解」」」

 まりもがA01部隊に発破をかける。

 「Eナイト1、了解。おまえら、今日は晴れ時々BETAらしい、全くおかしな天気だよな。というわけで頭上注意だ。空から降ってきたBETAに潰されるなんてアホな死に方はするなよ」

 「「「了解」」」

 小塚次郎中佐の声に、第十三戦術機甲大隊の面々が返事を返す。
 歴戦の猛者達でも、空からBETAが降ってくるなど、初めての経験だ。どれだけの規模なのか、そしてどれだけの密度で降ってくるのかで、状況はまるで変わってくる。
 軽々しい口を叩きつつも、小塚次郎中佐はその難易度の高さを予想していた。

 「最悪、ある程度の損耗を覚悟する必要があるか?」

 ぽつりと呟くと、首を横に振った。

 「いや、そんなくだらない、攻撃でもない事で貴重な部下を失うわけにはいかないか。ここは撃震参型の能力を信じるか」

 撃震参型は、観測衛星からの緻密な観測結果に基づく衛星データリンクを活用することで、BETAの攻撃範囲を可視化することを可能にした。
 その結果、乱戦の中であっても相手の攻撃が届かない場所、つまり安全地帯を的確に把握することができ、それに伴い撃震参型がBETAの攻撃を受ける確率は劇的に低下した。
 また、通常のデータリンクの情報も総合することで、得られたデータを三次元的な情報として扱い、対BETA戦においての圧倒的なアドバンテージを手にすることが出来たのだ。

 「こちらEナイト1より、RAIUN管制へ」

 「こちらRAIUN、どうしましたEナイト1?」

 秘匿回線からの通信に、オペレーター代わりの茜が返事をする。

 「いや、管制ではなく、そこにいる変態にとりついでもらいたいんだが」

 「はいはい、お呼びの変態ですよ、小塚隊長」

 茜の代わりに、隆也の軽い声が通信から返ってくる。

 「頭上から降ってくるBETA、これに対して撃震参型の対BETA用攻撃予測シミュレータは正常に稼働するのか?」

 「愚問ですね、小塚隊長。帝国技術廠きっての俊才、小塚三郎少佐が手がけた撃震参型ですよ?その程度はお茶の子さいさいですよ」

 「ほお、お前がそう言うのならば大丈夫なんだろうな」

 小塚次郎中佐は、この変態紳士である隆也が、撃震参型の作成に関わっていることを推測していた。
 開発関係者のお墨付きと言うことであれば、安心出来るというものだ。

 「お、そうこう言っているうちに、衝撃波、来ます。大丈夫なはずですが、注意だけはしておいてください」

 「了解だ」

 小塚次郎中佐が前方に目をやると、確かに衝撃波によって砂塵が巻き上げられて出来る壁のようなものが徐々に迫ってきている。

 「衝撃波到達、ラザフォードフィールド正常展開。よし、特に問題はないようだな」

 「BETAが空から降ってくるっていう話はどうなった?」

 状況を確認し満足そうに頷く隆也に、小塚次郎中佐が確認をしてくる。

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