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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その45
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 カシュガルハイヴ内部

 「ひゃっはー!相変わらずハイヴ内は地獄だぜ!」

 毎度のことながらヒャッハーしているのは、言うまでもなく変態紳士こと立花隆也その人である。
 彼の前にはこれからスクラップに変えられる憐れな獲物がうぞうぞと蠢いている。

 『相変わらずって、お前ハイヴ内戦闘の経験なんてないだろう?』

 と、調子に乗ってオープンチャンネルで吼えていたのが仇になったようで、第十三戦術機甲大隊の小塚次郎中佐から突っ込みが入る。

 「い、いや、あのですね、そう、シミュレーターで何度も経験している、という意味でですね」

 『ふーん、まあ、そういうことにしておくか』

 思い切りきょどっている隆也を軽く流しながら、偽装縦穴から出てくるBETAを冷静に狩っていく。流れるようなその動作は歴戦の戦士ならではだ。
 通路では雷雲がラザフォードフィールドを通路一杯に広げて相手を押しつぶすという荒技が繰り広げられるため後続の戦術機部隊に出番は無いかと思われたのだが、偽装縦穴、および偽装横穴の中までは手が回らないため、そこから現れるBETA共を相手取る必要があるのだ。
 当然、ハイヴ内のマップは先のリヨンハイヴ攻略戦の折にAL4計画の成果により丸裸にされており、どこからBETAが湧いて出てくるかについても全て把握されている。
 レーザー属種の脅威に晒されつつ、いつ地下侵攻が起こるか分からない地上戦と比べて、むしろハイヴ内戦闘のほうが楽、というなんとも珍妙な逆転現象が起きていた。

 『もう、いつものノリで喋りたいなら、AL4計画用の専用チャンネルで喋っておけばいいのに』

 と冷静な突っ込みは神宮司まりも大尉だ。
 彼女を始めとするAL4直属の部隊は、隆也がなにをやったところで全てスルーする、超スルースキルを身につけている。
 一部の人間は、よく隆也はがストレス発散にオリジナルハイヴにかち込みを掛けていることすら承知している。
 さらに言うなら、白銀武と鳴海孝之については、隆也・ザ・ブートキャンプとかいう名目で何度かオリジナルハイヴ内での戦闘を行っていたりもする。

 「いやー、でもこのオープンチャンネルで叫ぶ快感がまた」

 面倒を見きれない、といったため息がまりもの口から漏れる。

 『それでぼろを出していたら世話はないでしょ。戦闘中の記録はあとで帝国軍のほうでも見るんだから、あんまり迂闊なことは言わないの』

 駄目な息子を叱るような気持ちになりながら、まりもが説教をする。

 「あい、了解」

 渋々了解の返事をする隆也。この男に言うことを聞かせることが出来る人間というのは、実はかなり貴重であったりする。
 そんな地獄の戦場であるはずのハイヴ内戦闘らしからぬいたってまったりとした会話をしながら、その実熾烈な戦闘は続いている。
 もっとも雷雲は先ほど言ったように、掘削機のようにBETAをゴリゴリと押しつぶし、戦術機部隊は散発的に偽装穴から湧いて出るBETAを相手に戦闘を繰り広げている。
 さらに地上の激戦と比べると進撃速度も落ち着いているため、非常に楽なものではあるのだが。
 そして予定通りの時間に、彼らは地下の反応炉へと続く広大な広間へと到達したのだった。



1997年 初夏 カシュガルハイヴ内部(軌道降下部隊)

 最精鋭の米国軍、ソ連軍の彼らをしても、ハイヴ内での戦闘は熾烈を極めた。
 無尽蔵にわき出るBETA、壁を覆い尽くすBETA、頭上から降ってくるBETA、BETA、BETA、まさにここはBETAにより作り出された地獄だった。
 そんな中を最小限の迎撃で、目標地点を目指す米軍とソ連軍。
 彼らは神宮司まりもが唱え、そしてその有用性がポパールハイヴ、およびリヨンハイヴ攻略戦にて正式証明された、機動力による最終到達拠点への最速到達、およびその運用における戦術機の三次元立体機動理論に乗っ取り、最小限の火力攻勢での敵拠点への侵入を計っているのだ。

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