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マブラヴ 転生者による歴史改変
歴史介入の章その46
(マブラヴオルタネイティヴ)
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1997年 初夏 カシュガルハイヴ内部

 反応炉へと続く大広間、それは彼、立花隆也にとっては来慣れた場所のはずだった。
 それが、今までとは全く雰囲気が違う。そのことに彼は、一瞬戸惑った顔を見せた。
 彼が戸惑う、それは言ってみれば、いざ事に及ぼうとして、相手の股間に見慣れた物が付いていたり、えっちっちーなMANGAと思って中を見たら、エログロの際物だったりとそう言うことでもない限りあり得ない事だと周囲には認知されている。
 どんなやつだよ、それは。という突っ込みがあるのは仕方がないが、それが彼、立花隆也、自称紳士オブ紳士である。

 「因果律の干渉…どうやら本格的に始まったみたいだな」

 1人呟く彼は、密かに撃震ULの時空相転移炉に灯を入れる。すなわち、世界を相手取る事が出来る超兵器の出撃を想定している行動である。

 「どうかしたの、隆也くん?」

 秘匿回線で直接隆也に連絡が入る。相手は神宮司まりも、彼のパートナーにして、因果律改変計画の最初の犠牲者とも言える人物である。
 独力で得た「女の勘」により、世界中の誰よりも、隆也の変化に敏感である困った女性だ。

 「いや、ちょっとな…まりもん、撃震ALの調子はどうだ?」

 「すこぶる順調よ。先進撃震参型よりも遥かに動きがいいわね」

 この作戦に先立って与えられた撃震ALの性能にご機嫌のようである。この辺りは、さすが戦術機乗りである。
 全世界の衛士から、エースと称えられる彼女であるがゆえに、その能力を十全に生かし切ることが出来る戦術機は希少である。
 現存の量産型の中で彼女の操縦に追従できる機体は、存在しない。かろうじてAL4計画が持つ、先行量産機である「迅雷」が彼女の操縦に耐えられるくらいだろう。

 「そうか、そりゃよかった。武とヘタレに、言っておいてくれ。いつもと同じと思うな、何かが違う、とな」

 「?わかったわ、そう言えばいいのね」

 「ああ、頼む」

 「了解、それじゃ、本当に何もないのね?」

 「今のところはな。ただ、気になることがある。それは確かだ。もっとも何がどう気になるかが分からないんだが…」

 隆也の珍しく歯切れの悪い態度に、まりもが驚いたように目を瞬かせる。この男、へんた、もとい紳士につき、が合い言葉の隆也がシリアスに語っている。
 こやつ、偽物じゃなかろうか?などという失礼な疑念がまりもの頭をよぎる。だがまあ、彼がたまにシリアスモードになることもないではない。
 朝食に変な物でも食べたのだろう、などと思うには、彼女の持つ「女の勘」は敏感すぎた。

 「そう、それなら何か分かったら教えてね。手遅れになる前に」

 「ああ、そうする」

 通信回線を切って、しばらく脳内シミュレーターでコネコネと状況をやり返すが、出た答えはいつも通りだった。
 だが、間違いなくいつもと違う。第六感が警鐘を鳴らしている。

 「まあいい、なにかあれば、それごと叩きつぶして、突き進むのみだ」

 獰猛な笑みを浮かべ、傲岸不遜に呟くと、雷雲の操縦に専念する。
 なにせ今は敵地のど真ん中。それも本丸の前の最も苛烈な防御陣とも言える場所なのだ。呑気に過ぎるといえば呑気に過ぎる。
 だが誰もそれを疑問に思わない。
 なぜなら、並列思考と同一化した00ユニットにより今この瞬間も、雷雲は苛烈な戦闘行為を続行しているのだから。
 そんな中にあって、中に乗る隆也の変調に気づいたまりもの「女の勘」こそ恐るべし、である。

 「よし、サブ荷電粒子砲、5秒間並列発射後、M314搭載自律誘導弾を1秒間隔で全門発射。続けて240mm電磁投射砲30秒斉射後、120mm電磁投射砲30秒斉射」

 「了解」

 雷雲の管制室にいる涼宮茜から了承の声があがり、雷雲に備えられているサブ荷電粒子砲4門が火を噴く。あふれ出す破滅の閃光。その光に触れたBETAは次々と原初の塵へと変わっていく。

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