■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
マブラヴSEED
82話 『九州の地獄』
(マブラヴオルタネイティヴ×機動戦士ガンダムSEED)
  [→]  【PAGE 1/3】
キラはこの世界で初めて苦戦の中にあった。

実質、このレーザー要塞級と言う化け物は文字通りその名が示す通りの化け物なのだ。
何せ大きさは要塞級の倍以上、大出力レーザーを湯水の如く乱射し、防御はラザフォード場で彎曲したレンズ状のレーザー。

(誰が付けたか、言いえて妙だな……。コイツは動く要塞だ)

そのネーミングに皮肉交じりに感心したキラは自身の奥の手を出す事にした。

SEEDの解放である。

(SEEDを開放して一気に懐まで詰めてフルバースト。これしか方法が無い)

キラはそう思うとSEEDを解き放った。
頭がクリアーになっていくあの感覚。
自身の反応速度と情報処理速度が飛躍的に上がる。
筋力も飛躍的に上がって聞く。

これはキラがSEED状態で脳のSTを撮った時、明らかになった事で、SEED状態の人間の脳は全てが活性化している事が判明した。
通常、人の脳は約10パーセントしか使われていない。
これは脳が壊れない様にリミッターを掛けている。
筋力も30パーセントしか使われていない。
しかし、SEEDは人間が危機的状況でしか発動しない残り約90パーセントを任意で発動する事が出来る。
つまり火事場の馬鹿力を任意的に発動する能力をキラは『SEED』と解釈した。

フローは脳の10パーセントの処理速度、30パーセントの筋力で行われる技術である。

そう、身体的に恵まれたコーディネーターとSEEDの相性は極めて良い物であった。

キラは一気に操縦桿とペダルを踏み込む。
フリーダムはそれに答える様に猛スピードで要塞レーザー級との距離をどんどん縮めていく。
要塞レーザー級もレーザーを乱射するがSEED状態のキラを止めるには弾幕が足りなかった。

愈々、キラはレーザー要塞級の懐に飛び込み全砲門を青白く光るドテッ腹に叩きこもうとした。

(取った!!)

確信したキラはトリガーを引き絞ろうとした瞬間、悪寒の様な物が全身を震わせた。

(不味い!)

キラは自身の感を信じてフルバースト状態から一気にペダルを踏み込み上昇を試みる。

その瞬間、フリーダムのいた位置に鋭い棘の様な物が高速で通り過ぎた。

「触手!? 要塞級クラスの触手が何本も?」

これには流石のキラも面食らった。
尚も襲い来る触手に操縦桿とペダルを忙しなく動かし、器用に迫り襲い来る触手を回避したが今度は逃げた位置にレーザーが襲い掛かった。

キラは左に強引に回避した物のフリーダムの左の翼が熔解してしまった。

「クッ!?」

何とかバラエーナは展開していた為、破壊されずに済んだがこれでフリーダムの飛行時のバランスと冷却は大きく損なわれた。

これはフリーダムの翼が空中戦でコンピューター制御により能動空力弾性翼として機能しMSに航空機以上の旋回性能を与えていたのと同時に原子炉の冷却や機体冷却にも大きく影響していた。

つまりキラは性能を落とされた状態からこの難敵に挑む事になってしまったのだ。




この事態に真那達は唖然とした。

あのフリーダムが、帝国最強の戦術機が傷付いた。

同時にこうも思わせた。

『あの綺羅が回避できない敵なのか』

とも。

真那はその思いに至ったが強引にその思考を捻じ伏せるとスレイヤーズ全軍に通信をする。

「エンジェル1とり各機。緩むな! キラは諦めていない。なら我々はキラを信じてこの戦線を維持するぞ!」

そう、真那も解っていた。

キラが落とされれば後は無い事くらい。

それにあの様なフリーダムの惨状を真那は見た事が無い。
それくらい今のキラに余裕が無いのが見て取れる。

今の所、武装コンテナや補給コンテナは事足りているがそれもいつまで持つか解らない。

なら、我々のする事はBEATの多くを抜かせない事が最重要任務だ。

あの化け物は正直、キラ以外には手に余る上に加勢に入ってもキラの足手まといでしかない。

伝説の世代が全員キラクラスなら何とか出来るがそうもいかない。

  [→]  【PAGE 1/3】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る