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マブラヴSEED
83話 『終わる地獄』
(マブラヴオルタネイティヴ×機動戦士ガンダムSEED)
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幾多も致死の光の柱が上空目掛け無数に放たれ、刺突で幾多の命を奪う触手が複雑怪奇に入り乱れる戦場でキラは苦境の中にあった。

SEEDを開放しフリーダムの限界をも引き出したキラの苛烈な攻撃にも小動しないこのレーザー要塞級にキラは苦しめられていた。

「クソ」

キラらしくない悪態を吐きながらも操縦桿を動かす手とフットペダルを動かす足は止めなかった。

(今までの戦い方では話にならない上にジリ貧だ。どうする……)

キラは何とかこの難敵の弱点を探ろうとした。

先ず、長距離からの射撃。
相手はレーザー彎曲でそれを防ぐ。
これではジリ貧。

次に高機動による攪乱と回避。
あのレーザーを乱射する敵には無意味。

次に接近戦。
これも無数の触手で妨害される。

(如何する? この敵には生半可な攻撃は火傷じゃすまない……)

真那達を参戦させる事も考えたが人が増えた所であのレーザーと触手の前では意味が無い。

賭けに出る事も考えたがリスクが大きすぎるし敵はレーザー要塞級だけでは無い。
むしろこの難敵を退けた後が問題だ。

残るBETAを退ける必要がある。

真那達の活動限界もある。
課題の多さに比べて熟さなければならない仕事が多過ぎる。

キラにしてもフリーダムにしても活動限界はある。

(確かに正面の火力、防御力は凄まじい。だけど、)

そう、このレーザー要塞級、正面の火力と防御力は凄まじいが後方の防御は如何だ。
余りにも脆弱すぎないか。

ここに来てキラも周りも失念していた。
要塞レーザー級は後方が攻撃、防御とも薄い。

(狙うとすればそこか……。コイツの旋回能力がどれ程かは分からないけど……。やってみる価値はある)

そう判断したキラはアプローチの方法を模索する。
上、下、左右。何処から攻めてもコイツは反応し旋回する。
その時だった。
キラはある事を思いついた。

(危険な賭けだが……、やってみる価値はある)

それには真那達の力が不可欠だ。

キラは真那達に通信を繋げるのだった。



キラの通信を聞いた真那達は半信半疑振だった。

『早い話、綺羅を囮に使って反対方向を振り向かせ、此方の持てる火力をあの化け物のケツに叩きこむ。まあ、シンプルで捻りが無いけど現状で取れる最良の手か……』

玲子の言葉に全員が頷いた。

問題はこの大量のBETA群だ。

いくら難敵の要塞レーザー級が振り向いたとして、こいつ等を無視したまま火力を集中できるかという疑問だ。

真那達なら可能だが他の連中が無理だ。
どう考えても犠牲覚悟の戦術に真那達は覚悟を決めた。

あのキラが命をくれ。助けてくれと言ったのだ。

なら、勝算がある上にリターンが大きい。
実に賭けがいのある賭けじゃないか。

『私は伸るぜ、お前等は?』

『言われるまでも無い。隊長たる綺羅の判断だ。従うさ』

女性陣2人は快諾した。
残る男性陣2人も賛成した。

『まあ、アレを何とかしない事には如何にもならんし……。リスクはデカいが仕方ない。やるぜ』

『僕も。もう、それしか手は無いみたいだね』

小隊長達の意見は一致を見た。
後は部下達だけだ。が。

『隊長が初めて命くれって言ってんだ。俺はやりますよ!』

『私もです。やります』

次々に上がる声にキラは苦しく、そして万感の想いでこの言葉を口にした。

「有難う」

と。


キラは部隊間の作戦を説明すると作戦を実行に移した。

「さあ、覚悟してもらおうか。僕達も覚悟は決まってる」

シンプルだ。
レーザー要塞級が倒れるかキラ達が倒れるか。
2つに1つ。

キラは要塞レーザー級のレーザーを回避しながら大きくレーザー要塞級を中心に大きく円を描くように回り込んだ。

当然、キラを迎撃しようと要塞レーザー級もキラを追いかけて動き出した。

(来た!)

キラはそう確信した。


「よし、綺羅が動きだいた」

真那はそう言うと部隊に細かく指示を出し始めた。

『エンジェルワンからスレイヤーズ! ターゲットが後方反転! 集中攻撃ぃぃぃぃぃ!!!』

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