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マブラヴSEED
84話 『弟子達のその後』
(マブラヴオルタネイティヴ×機動戦士ガンダムSEED)
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世界各国は新種のBETAの情報とそこから齎されるであろう被害予測と対応に追われていた。

日本帝国の最前線部隊の半壊とスレイヤーズに浅からぬダメージでようやくとあっては各国も気が気でない。

欧州連合では帝国の惨状に耳を疑った程だ。

最前線の第五世代型戦術機、最新鋭戦艦、優れた衛星とセンサーがある帝国屈指の防衛網に穴を開けられたばかりか被害甚大とくれば尚更だ。
更に言えば戦力5割の損失は部隊壊滅と同義語である。

さらに言えば情報部が掴んだ情報ではスレイヤーズのガンダムタイプ戦術機全機が使用不能とあっては尚の事だ。

詰まる所、帝国は利き腕を潰され、ご自慢の剣も折られたと言う状態である。

さらに悪い事に帝国最強の衛士であるキラのフリーダムが完全に使用不能とあっては帝国の面子も潰された格好である。

欧州連合としては帝国の面子などどうでも良いが問題は最強と名高いフリーダムとキラが戦って機体損傷でようやく掴んだ勝利と言う事実を重くさせた。

欧州連合でもこの新種との戦闘を想定した場合、核と全軍をもってしても防衛は困難と言う結論に至った。


アメリカもアメリカで今回の事態を重く受け止めていた。
国連経由で齎された情報では陽動で多大の犠牲覚悟でG弾5から6発必要と言う結論に至った。

そもそものアメリカの戦略とはG弾中心の戦術である。
実質、人類同士戦争では極秘で作り上げたステルス戦闘機が高速で戦術機の頭上からミサイルを撃ち込めばケリが付く。
戦術機は対BETA戦専用と言う意味合いが大きい。
何せ戦車以下の装甲と火力、戦闘機以下機動力と中途半端な印象である。
暫くは戦術機中心だろうが戦闘機のパイロット訓練と機体開発がアメリカで進めば再び戦闘機が人類同士の戦争の主役に躍り出る事は疑いなかった。
勿論、アメリカはG弾に絶対の自信と“戦後世界”を意識しての行動である。

それ故にアメリカはユーコンではポーズだけは取って置き、戦術機に見切りをつけ極秘裏に戦闘機の開発とそのパイロット育成に力を割いていた。
勿論、仮想敵国となるであろう国々の戦力把握の側面もあった。

しかし、その目論見は新種のBETAによって大きく揺らいだ。
G弾推進派ですら勝てるのか疑問に思う程、今回の新種BETA出現のインパクトは大きかった。

『アメリカは安全保障において一切の手抜き、妥協は無い』

世界とアメリカが共有するこの理念が大きく揺らいだのだ。
アメリカ自身の心の中で。

自分達の考えが間違っているのでは無いか? 本当に今のままで良いのか?
要塞レーザー級が大量に出てきてはハイヴ攻略の為のG元素すら失ってしまうのではないか?

アメリカは正に混乱の極みにあった。



その頃、ユウヤ・ブリッジスは戦術機のコックピットにいた。

『中尉、では演習を開始します。よろしいです?』

「ああ」

ユウヤはCPの言葉に手短に答えると正面を見やる。
網膜投影に映し出されていたのはラプターが1機だった。

(相手はアメリカ戦術機部隊の英雄、ファイブスターの一人か。倒せない敵では無い)

ユウヤはそう思うと操縦桿を握っては離し、握っては離しを繰り返した。

『状況開始』

その言葉と共に対面する2機は一斉に動き出し。

ユウヤは操縦桿を動かしながら相手の動きを観察する。

(即時右円形機動による回避と攻撃の両立。基本に忠実だ。しかも、いい動きだ。ラプターの慣熟を熟した衛士の技能としてはトップクラス)

ラプターは日本からのライセンス生産で作られたビームライフルを乱射してきたがユウヤは慣れた操作で的確に回避をして見せる。
牽制弾と命中弾を瞬時に見極め、的確に回避するユウヤの非凡さが光る回避と言ってもいい。

この演習を見ていたギャラリーの衛士は舌を巻いた。
ファイブスターの射撃をこうも的確に回避できるアメリカ軍衛士が目の前にいようとは思わなかった。

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