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行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
1 魔法に関する所見
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
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「アキト……」
「どうした?」
「……だいじょうぶ?」
「ああ、大丈夫だ……これが終わるまでは、死なないさ……」
「……」
「ラピス……これが終わったら」
「私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの……」
「……」
俺はラピスの頭を少し強引に撫でる。
ラピスはそれ以上何も言わず、されるがままにしている。
ラピスはまだ11歳程度の娘だが……実年齢は更に幼い。
促成栽培ではないが、作り出された存在ゆえに赤子で生まれてきたわけではないのだ。
できれば彼女の自我をきちんと育ててあげたかった。
しかし、あまり時間があったわけではなく、俺といる時間のほとんどは戦いに彩られている。
まともな精神が育つはずも無い。
そして、俺の命数も尽きようとしていた。
ナノマシンスタンピードの被害は全身に及び、サレナに乗っていなければまともに動くことすらままならない。
IFSのおかげでサレナの内部にいる限りは感覚がつながるが、それも限界に近い。
だが、俺には最後の仕事が残されていた……。
火星の後継者の反乱から2年。
南雲とクリムゾンによる騒乱などといった小競り合いはあったものの。
最後に残った幹部であるヤマサキの行方はようとして知れなかった。
北辰のように死亡確認が取れない幹部もいるが、奴のようなタイプは逆につかみやすい。
なぜなら、草壁の忠臣である以上いずれは草壁の奪還に動くはずだからだ。
時々そういった、動きも見えているらしく、月臣やネルガルSS、連合宇宙軍が連動して押さえにかかっている。
北辰との決着はあの時つけた、恨みが無いといえば嘘になる、しかし、奴ほどではない。
そう、俺とユリカの体を弄繰り回し、ボロボロにしたあの男、ヤマサキほどでは……。
あの男の行方をどうにかつかみ、強襲をかけるためにユーチャリスをアステロイドベルトに向かわせた。
火星と木星の中間に位置する小惑星帯は、
未だに実数が把握し切れていないという隠れるにはおあつらえ向きの場所だ。
俺たちはその空間を丹念に探し、どうにか違和感のある場所を見つけた。
小惑星の質量が見た目に合わない場所がある。
恐らく奴の研究室の一つだろう、奴はもともと木連にいたわけではなく、ふらりと現れて草壁の配下に収まったという。
つまりは、火星の後継者以外の支援者がいる可能性があるということだ。
「だが、それもここまでだ」
ラピスに命じユーチャリスのステルスモードを解除しその姿をさらす。
レーダーなどには捉えられたはずだが、既に遅い。
「グラビティブラスト4連斉射」
「わかった」
ラピスが了解を出し、ユーチャリスの砲撃が開始される。
予想していたことではあったが、バリアが張り巡らされていて、グラビティブラストの4回砲撃でも傷もつかない。
俺はボソンジャンプでサレナをバリア内に飛び込ませる。
内部ではバッタやジョロといった無人兵器、そして六連タイプが数機迎撃に出てきた。
「フンッ、安く見積もられたものだな」
俺は、サレナをトップスピードに乗せてディストーションアタックで打ち抜きながら、カノン砲を四方に見舞う。
体の感覚がダメになった分サレナとの思考タイムラグが少なくなったせいもあり、鋭敏に敵の動きを察知できる。
見る間に数を減らしていく無人機。
俺は、ついでとばかりにバリアの発生システムをカノン砲で撃ち壊す。
そのタイミングを待っていたユーチャリスはグラビティブラストを小惑星に叩き込んだ。
すると小惑星表面に映像が投影される。
『流石にやるねー、このままじゃこの研究所も破棄するしかないな』
「……ヤマサキか」
『実験体027号……いや、テンカワ君だっけ、きみの噂は耳にしているよ。
廃棄された君が生き残っただけじゃなくて復讐者として我々に牙をむくとはね。
ちょっと驚いてるよ』
「残りの命はそのために捧げた。もっとも貴様を殺し今日でそれも終わる」
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