■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
9 秘密の宝具は9個でいい。
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
[→]
【PAGE 1/6】
ボソンジャンプの後、落ち着き先が必要だったので、
傷だらけのフェイトと俺というハンディを背負いながらどうにか月村家までやってくる。
なんのかんのいっても、リニスがいるおかげでいろいろと助かっている。
問題は月村家にこれ以上の迷惑をかけられないことだ。
フェイトの母親、プレシアの行動は常軌を逸している。
しかし、恐らく追いかけてはこないだろう、はっきりいえば俺たちに興味がないように見えた。
フェイトに対しては複雑な感情を見せていたようではあったが……。
一番強い感情は憎しみ……少なくとも表面上はそう見えた。
しかし、フェイトにしても近くにいなければそれでいいように感じた。
「あの感情はいったいなんだったんだ……」
復讐を実行したことのある俺にはわかる、憎しみも拒絶も何かを隠している鎧だということが。
俺自身がそうだったように……。
兎も角今は、他に行くところがあるわけでもない、月村家に無理を言って二人の部屋も用意してもらった。
今は二人とも寝かしつけてある。
「あんたねー、女の子を拾って来る趣味でもあるわけ?」
「いや、そんなつもりはないのだが……」
「そりゃ事件に巻き込まれたとかやむおえない事情があるんでしょうけど、
アキト、あんたさわかってる? 何故か連れてくるのが全員女の子なのよ!?
最初はラピスちゃん、次はそのリニスって娘だし、今日はフェイトちゃんとアルフちゃんだっけ?
なんで全員美人の女の子なのさ!? 私達だってこの町ではかなりの美人で通ってるのに、霞んじゃうでしょう!」
「……そういう意味で怒っていたのか!?」
「当たり前でしょ! この屋敷に今いる女性は私を含めて8人よ、全員美人ていっても過言じゃないわ。
アンタが来てから一か月かそこらで倍よ、倍!」
「生活費は……」
「そういうことじゃない! いい、今度は必ず二枚目の男の子とかを助けてきなさい!」
「はあ……」
どうにも論旨がズレているように思えるが、まあ確かに男女比がおかしいのは事実か。
男性を助けるといっても、助ける必要性がなければ助けようがないので、えり好みはできないのだが(汗
気にしても仕方ない、心の隅に残しておこう。
とりあえず魔法などのことは省いて話し終えたときには半時間ほどたっていた。
「へぇ、そりゃまた凄い母親ね……」
「職探しの時に知り合ったんだが、こんなことになるとは思わなかった」
「まあ、多分自業自得だとは思うけど、最後まできちんと面倒見切れるの?
私は多少なら手助けしてもいいけど、すずかを巻き込んだら……殺すわよ」
その時、一瞬その眼の色が変わった。
妹のためなら非合法な手段も問わないという意思表示だろう……。
もっとも、俺としてはラピスの事もある、早々に解決するつもりではいた。
それに、相手の方もあまり時間があるとは思えなかった。
あのプレシアという女性の顔色は既に人の顔色ではなかったし、疲労が顔に出ていた。
あのいらつきも思うようにいかない研究のせいだけとは思えない何か切羽詰まったものがあったし、
彼女からは血の匂いがした。
それぞれは色々と方向性の違う情報だが、全てを統合すると彼女はもう長くないのではないかと考える事が出来る。
リニスは彼女も救うつもりであったようだから、その為にはこちらも迅速に動く必要があった。
次の日、ラピスとすずかを見送り、忍には翠屋を休むことを伝えておく。
そして、彼女らのいる部屋へと急いだ。
車椅子のスピードなどたかが知れているが。
「入っていいか?」
「はい」
ノックをしてフェイトのいる部屋に入る、そこにはアルフとリニスも一緒にいた。
リニスはフェイトとアルフをなだめるように頭をなでている。
その表情は慈母のようでどこか犯しがたいものがあった……。
「あら、マスターもご一緒します?」
「その手の冗談が出るなら問題ないのか」
[→]
【PAGE 1/6】
■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る