■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
10 逆行ものも10回見れば流れがわかる。
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
  [→]  【PAGE 1/7】
突入部隊は途中の魔法のトラップや傀儡兵と呼ばれる魔法で動く自動防衛兵器にひっかかっている。

クロノは俺達を監視しようとしていたようだが、戦闘がはじまると集中してしまい俺たちが脇道に入り込む隙を作った。

なのはは先に動力炉を止めるために向かっており、実質的に俺たちを止める者はいなかった。

戦闘後クロノは俺たちを追いかけたようだが、おおよその位置把握では裏道を突っ走る俺達を捕えることは難しかったようだ。

もっとも、俺はリニスの魔法で浮いているだけなので楽なものだが。



「ここがプレシアの研究室か?」

「はい、私と会う時以外はほとんどここにこもっていました」

「私も以前からこの部屋で研究していたのは知っていましたが……やはり、体を壊しても続けていたのですね」

「あの女はそこまでして何をしてたんだろ?」

「それはすぐにはっきりとする」



俺はリニスに頷き、研究室の扉を開けさせる。

そこにはずらりと水槽が並んでいた……研究室?

どちらかといえば保管庫のようにも見える……。



「でも、勝手に入るなんて……」

「母親思いは結構だが、助けるためにも目的を知ることは必要だ」

「そうです、しかし……。以前とは随分と様変わりしていますね……」



俺達が研究室に踏み込むと、そこにあるのはただ何かを納めていたと思われる水槽ばかり。

しかも、かなり奥行きがある部屋のようだった。

ここにはプレシアの気配を感じない、しかし、時空の狭間だかに浮かんでいるせいか、演算ユニットが座標軸を安定させない。

起点となる俺から離れてしまうと座標がとたんに不安定になる。

恐らく、断層のようなものを作っているのだろう、この部屋、よほど特別らしい。



「つきあたりまで行きついたな」

「はい、特に変わった風なものは見当たりませんが……」



いや、ひとつだけある、ひときわ大きな水槽が……これだけが球形であるのも特別さを感じさせる。

ただ、内部は暗さのせいもあってみる事は出来ない。

俺達は水槽に近づいてみることにした。

しかし、感知式の魔法でも仕込んであったのか、突然空間を渡ってプレシアが出現した。



「貴方達がここに来るなんてね……フェイト、役立たずなだけじゃなく刃向うつもりなの?」

「そんな! 私は……母さんに……」

「母さん……母さんですって! このできそこないが!」



プレシアの表情が今までの嘲りから怒りに豹変する。

怒りの根幹にあるのは大抵の場合、くやしさか後悔だ。

欲しかったものを手に入れられなかった、守りたいものが守れなかった、

自分の何かを否定された、他人に知られたくない事を知られたなど。

俺が復讐をした時はこの4つのうち3つまでを満たしていた。

プレシアはどうなのだろう?



「プレシア・テスタロッサ。今回は部屋ごと俺達を飛ばさないんだな」

「クッ!」

「この部屋はそれだけ重要ということか……その水槽の中身が」

「……時空管理局か」

「ああ、聞いたよ」

「そうさ、この水槽の中にいるこの娘こそ、私の愛娘アリシア・テスタロッサだ!」



プレシアがそう言うが早いかこの研究室に明かりがともる、真っ暗だった水槽の中には……。

フェイトと同じ姿の娘が……いや、少し小さくしたような娘が浮いていた。

まるでフェイトの成長途中で切り取ったように、そっくりのその姿は双子と言われても信じるだろう。



「アリシア……やはり、貴方はフェイトを作ったのですね……」

「そう、リニス。お前のような使い魔の発展形、ホムンクルスの技術を使ってより人間に近い存在を作り上げた」

「そっ……そんな……」

「あっ、あんたはどこまでフェイトを翻弄すれば気が済むんだい!!」

「ふんっ、元々アリシアの復活のために生み出したテスト用なんだけどね……。

 まったく似ていなかった、アリシアはあんなに明るい子だったのに!

 物おじしないし、私に反発することもあるけどすぐにまた仲良くなれる。

  [→]  【PAGE 1/7】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る