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行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
5 タルトは冷まして五等分
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
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俺は、今日も今日とて職業安定所に通う。
正直まだ足が治っていないので、まともな仕事は無理だという自覚はあるが、
それでも仕事を探していれば今後の参考にもなる。
行く途中でフェイトと会う、話の内容はあまりなかったが、それなりに気分がはれたようだったので安心だ。
帰りにお菓子屋を見つける。
金持ちというわけではないが、幸い俺は火星育ち、英語通訳はこなせるので翻訳の内職で少しは稼いでいる。
もちろん、通訳のバイトは収入が不安定だから、小遣い稼ぎにしかならないのだが。
まあ、そんな事より、学校から帰ってくるラピスやすずかにちょっとお土産でもと思い立ち寄った。
しかし、そこには既にラピスもすずかも来ているようだった。
「いらっしゃいませ、翠屋にようこそ!」
「いらっしゃいませ!」
元気のいい声で挨拶をされる、バイトの中華っぽい服を着た子とすずか達と一緒にテーブルを囲んでいる娘だ。
よく見れば、奥の方には忍もいる、恋人と仲良く仕事をしているらしい。
なるほど、ここが忍のバイト先か、おおよその理由は察した。
「あらら、居候がここにくるとは思わなかったわ」
「これは失敗したな、土産でも買って帰るかと思ったんだが」
「あ、アキトさん!」
「アキト!」
すずかとラピスも俺に気づいたようだ。
駆け寄って、車椅子を押してくれる。
「おー、その人がすずかの家の居候ね、私はアリサ・バニングス、すずかの友達よ。
でもあれね、普通の服装じゃない。てっきり、黒マント全身タイツかと思ってたのに」
「ちょ、初対面の人に失礼だよ、前に服は買ったって言ってたよ?
って、あっ、ごめんなさい、挨拶してませんでした。
私、高町なのはっていいます」
ちょっとなれなれしい感じで俺に挨拶をする金髪碧眼の少女アリサに対し、
明らかに日本人の少女なのはは礼儀正しく挨拶する。
二人ともすずかから話は聞いていた。
元気でやりすぎることもあるけど基本的に人がいいアリサと、
礼儀正しくて、ちょっとおませで、正義感と責任感が強い少女なのは、
すずかから聞かされている人物評はそんな感じだった。
「紹介ありがとう、俺はテンカワ・アキトだ、よろしくな」
「はい」
「へえ、以外に礼儀正しいじゃない、ってそうだ。貴方ラピスの兄なんですって? あんまり似てないわね」
「……」
俺はすずかを眼で追う、すずかはちょっとばつが悪そうな顔をしている。
確かに、俺とラピスは家族のようなものだが……。
血縁はないから、似ているはずもない。
「私はアキトの(もごっ!?)」
「あはは、ラピスちゃんったら、お兄さんのこと呼び捨てにしちゃダメだよ!」
「へー、本当かしらね?」
「もう、アリサちゃん、あんまり聞くのは悪いよ」
「あっ、うんごめん。ちょっと調子に乗ってたかも」
会って数分でこれだ、アリサという子は本当に遠慮がないな……。
だが子供らしいともいえる。
逆になのはという子は俺を心配してくれているようだが、少し大人ぶっているようにも見える。
どちらもいい子のようだが、対照的な二人だなとも思った。
しかし、なのはという子、恐らくフェイトと戦っていた子だろう。
証拠に、はやてやフェイトから出ていたのと同じ光が出ている。
正確には他の人たちからもかすかに見え隠れすることがあるが、まとっているように見えるのは今のところ3人だけだ。
これらが見えるのは演算ユニットのおかげなんだろうが、これがどういう意味を持つのかははっきりとしていない。
「こら、私の可愛い妹達にちょっかい出すんじゃないわよ!」
「いや、別にちょっかいを掛けたつもりはないが……」
「お姉ちゃん、そんなこと言ったらなのはちゃん達も困っちゃうよ」
「んー、まあいいわ、今回は許してあげる。それで何を頼むの?」
「メニューを見せてくれ」
「はいアキト」
「すまんなラピス」
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