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行き当たりばったりの協奏曲(改訂版)
7 約束を7年も覚えているのはちょっと重い
(機動戦艦ナデシコ×魔法少女リリカルなのは)
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白い帽子とコートの半透明な女性リニスはアキトに対し使い魔の契約を結ぶように言ってきた。

それは自らの消滅を免れるためであるという、アキトの頭の中はこんがらがっていた。

オカルトめいたものがこの世界にある事は百も承知だったが、

自分の身にもオカルトめいた現象が起こるとは思っていなかったからだ。

この幽霊はアキトの中に取り込まれた遺跡演算ユニットが取り込んでいったデータの一部であるという。

アキトは演算ユニットは位置情報だけを集めているわけではなかったということすら初めて知る。

月村家の面々もそのあたりの事は全く知らなかったため、突然の訪問者にびっくりしている。

ラピスだけはリニスに対し警戒の表情で見つめていた。



月村家のリビング、全員が集まり幽霊のようなリニスという女性の言葉に集中している。

興味をひかれているもの、警戒をしているもの、幽霊が珍しいもの、様々ではあるがリニスが気になるのは事実のようだ。

どこかにらめっこのような状態の中、沈黙を破ったのは忍だった。


「さて、順を追って話してくれないかしら。一応ここの家主なので知っておきたいと思ってね」

「順をですか、では契約はまだですのでテンカワ・アキト殿を暫定マスターと呼ばせてもらいます。

 暫定マスターはボソンジャンプと呼ばれる特殊な移動手段を持っています。

 これは、演算ユニットを介して元の場所と、目的地の位置情報と時間情報を取り込み、

 一度ボソンに還元した物質情報を先進波に乗せて過去へと飛ばし、

 そのまま光速を超えない速度で移動して、目的地に到達後ボソンから再変換される仕組みです」

「先進波って、空間以外に時間にも波があって、未来や過去へ向かうっていうトンデモ理論よね?」

「立証されていない理論は全て否定されるわけではありません、暫定マスターの世界には活用する方法があったのです」

「随分と詳しいな」

「演算ユニット内の情報をある程度ですが閲覧することができますので」

「へー、でもそれってあなたの事とどう関係あるの?」



忍はボソンジャンプの事を聞いているわけではない。

技術屋として興味がないではないが、今の状況をまず知りたいというのが彼女の考えである。

それに対しリニスは少しだけ微笑む、何か琴線に触れるものがあったのだろう。



「私は見ての通り死んでいます。

 いえ、人造魂魄ですから正確には死んでいるとか言うのも違うんですけど。

 しかし、周辺の情報を取り込み続ける演算ユニットの習性により、私は検知されていました」

「魂も検知するっていうの?」

「はい、魂といえど質量も重量もありますし、もちろん実質的には1ミリグラムにも満たないものですが」

「そういえばどっかの学者が死んだ人間は死ぬ前の人間より少し軽くなっているとかって言ってたけど……」

「今は否定しても仕方ないだろう、先を続けてくれ」

「はい、暫定マスター。貴方は最近普通は見えないような光が見えませんか?」

「……ああ」

「アキト?」

「アキトさん?」

「へぇ、そうなんだ」

「それは魔力や魂といった精神的なものの中で質量を持つものを演算ユニットが検知しているのです」

「……なぜだ?」

「それらはジャンプに影響する可能性を持つ危険因子ということなのでしょう。

 特に人造魂魄は普通とは違うものですから、暫定マスターに私の魂が見えたのもそのせいです

 そして、暫定マスター、貴方は興味を持って光に触れてみましたね?」

「一度だけな」

「その光が私の魂のコアだったんです。コアは演算ユニット内に既にデータ化された私の魂と結びつき、

 徐々に形を取り戻していきました」

「徐々に?」

「演算ユニットはボソンで過去へと常にデータを送信し続けています。

 それはあらゆる環境データを集積しなければジャンプの誤差が致命的になるからですが、

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