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マブラヴSEED
85話 『想いの在処』
(マブラヴオルタネイティヴ×機動戦士ガンダムSEED)
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キラは自分の宛がわれた執務室の椅子の背凭れにその身を預けながら深いため息を吐いた。
その様子を眺めていた真那は気遣う様な目線でキラを見やる。

「休んでは如何だ? いくら其方でも三日三晩徹夜では体が持たぬぞ?」

堪りかねた様に真那がそう提案してきた。
その提案にキラは何とか笑顔を作り温くなったコーヒーを啜り、喉を潤すと溜息をそっと一つ落としながら答えた。

「大丈夫、大丈夫だよ。忙しさのピークは越えた。戦術機の調達は人数分確保完了したし、必要物品もそろえた」

その言葉に流石はと思う一方で不安もあった。
帝国は現在、浅からぬダメージを負っている。
九州方面軍壊滅と言うダメージだ。

4月までには人員は補充できるだろうが経験豊富な兵力では無く新参が多くなるだろう。
帝国本土防衛軍はガラリと変わるだろう。
大規模な士官、下士官の人事異動は避けられない。

戦術機の配備数も工場や海上プラントをフル回転させても難しいだろう。

そんな中で何とか部隊数分の戦術機を確保できたのはキラが相当無茶をしたのではないかと真那は予測した。

そんな真那の微かな表情を読み取ったキラは安心させる様に真那に語り掛ける。

「大丈夫だよ、真那。“大佐”の肩書は伊達じゃない。それに戦果を上げてる。上も思う所はあるだろうけど表立って反論は無い筈だ」

そう言うとキラは目を伏せながらこう言った。

「それよりも、志摩子は今帝都病院で入院中だ。奇跡としか言いようが無い。ビームシールドを張ってたとはいえ機体が壊れる程の衝撃だ。命が助かったのは奇跡だよ」

その言葉に真那は嘆息するしか無かった。

「それでも……、もう甲斐は衛士としては活躍出来まい……。両足を切断では……」

そう、志摩子は命は助かった。
だが彼女の衛士生命は終わってしまった。

突撃級に潰された両足と共に。

「彼女には光の元でオペレーターをやってもらうつもりだ」

そのキラの言葉に真那もそれしか無いと思った。
今現在、重症とはいえ志摩子程の兵を遊ばせておくほど帝国に余裕は無い。
戦術機の戦闘の流れを知る志摩子ならオペレーターでも戦える。
そう判断したキラは彼女の残留を決め、光のオペレーターの増員要請と相まってこの人事はスムーズに運んだ。

それでも楽観出来ない事は確かで、問題は山積していた。

キラにとっての最大の問題はガンダムタイプ戦術機改良プランの大きな変換だった。

レーザー要塞級の存在がそれを大きく後押ししていた。

そもそも、あのふざけた火力と防御力では現状の改修案では焼け石に水なのだ。
如何にもならない事態であったとは言えBETAの対応能力を甘く見過ぎていた節がキラにもあった。
その事からもキラは今後の事を考え何としても改修案を捻り出す必要に迫られた。

キラはコーヒーを一口飲むと真剣な顔でパソコンの画面を見つめるのであった。


その頃、マーシャルもマーシャルで今回の作戦で思う所があった。

(あのキラさんの構築したハードやソフトがことごとくダウンするなんてありえない)

サバの味噌煮を箸で突きながら今回の“事件”を思考する。

(賢人達が絡んでいるのは間違い無い訳だけど……。極東の防波堤である帝国が落ちるイコールアイツ等の支配体制の崩壊の呼び水になりかねない。あの賢者達がそんな事するだろうか……? もしかして、これは賢者達も予測できなかった事ではないだろうか?)

サバの味噌煮を口に運びながら自身が埒のあかない事をグルグルと考えている事に思い至る。

マーシャルは左右に頭を振り、邪魔な思考を追い出した。

(今、やるべき事は答えの無い事を考える事では無い。今は国連の部隊編成だ。国連も少なくない被害を出してる。何も被害があるのは帝国だけじゃ無い)

そう考えた武は定食を一気に食べると今後の事について夕呼と話し合う為にPXを後にした。

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