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聖櫻新風伝
EP0-2「マイヒーロー」
(ガールフレンド(仮)×オリジナル×(一応)魔法先生ネギま!)
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「......!!!」
胸元に深々と突き刺さる刃の痛みを考え、反射的に堅く目を閉じる少女。
ーーーーあれ......?
予想に反して何ともない。
恐る恐る目を開く彼女の前には......


「ッジャジャーン!!『等☆身☆大!ボクフィギュア』ーー!!」
「えェえーーーーー!!!!」
残念男が取り出したものは彼そっくりに作られた等身大の可動フィギュアであった........
流石の少女もいよいよ呆れ、命が助かった安堵も忘れて大声を上げてしまう。
いやいや〜、と照れ笑いしながら残念男が口を開く。
「やっぱり、これから付き合うってのにさ、チョコだけなんてふざけすぎたと思うんだ。」
しれっと爽やかな口調で言うなり、彼は続けてフィギュアについて語り始める。
「すごいでしょ〜コレ、ボクの手作りなんだぞお〜、しかも動く!!いいね!!」
大方自分の手段が成功したと思っているのだろう、上機嫌に小躍りする残念男。
一方で少女は、
「き......聞いてないし効いてないよ......」
我を忘れて投げ掛けてしまった彼女なりの暴言も効かず、人の話もマトモに聴いておらず、挙げ句は死を覚悟した自分に対してあまりにもバカげたオチが待っていた。
最早全ての感情を越え、忘れ、ただただ呆れ果てるしかなかった......
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人影のすっかり無くなった校舎内、
「......ヤツの気配はあっちか!!急がんと......!!」
トイレから一人の影が現れるなり、校舎の上階を目指して駆け上がっていった......
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「さぁ、誓いを!!
ジュッテェエェムゥウ〜!!」
彼女の内心など知らぬ残念男は彼女の右手を握り、左手で壁ドン、という「ガチな体勢」をとり、少女に顔を近づける。
「ひっ!い、いや、やめて、やめて......!!」
何故美形ではあるのにここまで崩すと言いたくなるタコのような顔で口づけを迫る。
ここはさる棟の空きスペースで元々一番人の立ち寄らない場所だ。
いくら叫んでも助けは来ないだろう。
しかし少女は、目を閉じ恍惚とした表情の男がゆっくり迫るにつれて背筋が凍る思いをし、ついに
「たすけてーーー!!!!」


ーーーソイヤッ!!
......荒々しい掛け声と共に鈍く床に響く音。
「な......!?」
頬から殴り飛ばされ、床に叩きつけられた残念男と向かい合い、少女を背に佇む黒いマントと目深なニットを着用した人物......
「大丈夫やったか?」
声から察するに男だろう、彼は少女に聞き、状況を把握しきれてない本人は
「え、あ、は、はい......」
そう応えた。
「だ、誰だ誰だキミは!!何をするんだぁ!」
不快そうに顔を歪め残念男は怒鳴り付ける。
今までの良くも悪くもひょうきんだった振る舞いとは打って変わって、自分が殴られ妨害を受けたことへの焦りや怒り、驚きさえ見てとれた。
しかし、
「ナニスンダはお前やアホ、『キス』言うのは女の子を喜ばすためにするもんやろ。
なんやあの気ッ色の悪いキス顔で泣かしやがって〜。」
そんな彼に対しマントの男は飄々と、煽るように笑いながら返す。
それを聞いた瞬間、残念男は荒々しく奮起し、拳を固める。
今のマントの発言は恐ろしく彼の神経を逆撫でするものであったろう、目は鋭くつり上がり、
「赦さん......ボクを殴り、その上顔を『気色悪い』だと......!?うるさいうるさいうるさい‼ボクの邪魔をするなぁあ!!!!」
錯乱してマントに殴りかかるーー!!
「そら、でぃ!!」
「ぐッ!ハァ!!」
何と、マントはその拳を受け止め、腕を背にねじり上げるーー!!
痛い痛いと悲痛な叫びを上げる残念男に思い知れと言わんばかりに力を込めるマント男。
しばらく呆気に取られていた少女はハッと我に返り、
「あ、も、もうダメです。ソレイジョウイケナイ......」
助けてもらったところで申し訳なさそうに止めに入る。
「あ、そう。このコに免じて赦したるわ。

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