■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
俺の片目は戦争兵器
正義と羞恥心
(オリジナル)
  [→]  【PAGE 1/2】
 二日目、季節は春だが俺の仕事は春ではなかった。     
 前日よりはましだが相変わらず吐き気がする。      
 「宅配便でーす」        
 「今、行きます」        
 知り合いに会うのが怖い。       
 「毎度ありがとうございます」        
 早く終わってくれ。一生独身でいいから。     
 あの業者微笑してたよな。あー汚れたパンツを全校生徒に見せるくらい恥辱だ。   
 「いい子にしてないとどうなるかわかってんだろうな」      
 どこからだ?          
 「やめてください・・・・・・私の」      
 「うるせぇ」          
 あいつらか。         
 その不良らしき男は女の子を蹴飛ばした。それも全力で。       
 見てるだけで腹立たしい。       
 反射的だが騒ぎの方向に進んでいた。     
 「やめろ! お前ら」      
 「あん? なんだてめぇ」        
 なんでこんな正義らしいことをしているんだろう。      
 「何も無いけど反射的にね」       
 なぜか不良みたいな奴は涙目になっていた。      
 「お前、なんだその格好ちょーウケル」       
 しまった。こんな格好じゃ正義とか何もねぇ。ただの変質者だ。       
 「こんなやつが出てくるとは世の中は腐っちまったのか」      
 金髪の奴はまだ大爆笑している。         
 「腐ってるのはお前らだよ」       
 「あん? なに言ってんだ」       
 俺は眼帯を外した。       
 「お前ただの中二・・・・・・」      
 俺は右目から不良一人の髪にめがけてビームを放った。     
 「はげたぞ! 何やりやがった」      
 「何って? ビーム出したんだよ」       
 不良たちは口をあんぐりと開けて驚いている。      
 「ひ、ひるむな! ビームなんてありえねぇ」       
 もう一発、地面めがけて放ってやった。      
 「こ、こいつ・・・・・・お前ら行こうぜ」      
 不良たちは路地裏から走って逃げていった。     
 「ありがとうございます」         
 「これくらい当たり前だよ」       
 俺って、こんなことするような人間だったか?      
 「これ宝物なんです」      
 まぁそんなこと考えても仕方ないよな。      
 「なんでお兄さんそんな格好してるんですか?」      
 痛いとこ突かれた。       
 「バイトだよバイト」      
 「趣味なんですか」       
 人の話聞いてた?        
 「蝉島さん、いつまでこんなとこに」      
 「今、行きます」        
 「返事が早いわね」       
 磯山さんは店に戻っていった。        
 「気をつけろよ、これからは」       
 「待ってください」           
 俺のスカートを引っ張ってきた。       
 「なんだ?」          
 女の子はうつむいたまま何も言わない。      
 「一人なのか?」        
 女の子はコクリとうなずいた。        
 「あと・・・・・・お礼もしたいですしお兄さんをもっと見ていたいなって」  
 「なら、そこの店に入ってれば安全だし俺もそこでバイトしてるからさ」      
 女の子はまたコクリとうなずいた。       
 「どうしたのその子」
 「磯山さん、この子俺を見ていたいと言うんですけど、どうしましょう?」
 「もう帰っていいわよ」     
 思っても見なかった、発言だ。      

  [→]  【PAGE 1/2】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る