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俺の片目は戦争兵器
ラブレターの差出人
(オリジナル)
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窓を通って入ってくる春風は俺の頬をさする。
そんな春風は急に風向きが変わった。俺の人生と同じく。
授業終了のチャイムが鳴る。来てしまったこの時間が。
「蝉島、お前も運が良いよな」
後ろから話しかけてきたのは将錯である。
「良くないよ、運なんて」
「だってラブレターもらっ」
「その話は今やめようか」
俺は将錯の口を手で押さえる。
将錯もコクリとうなずく。
クラスの生徒から好奇の目で見られたがなんとか誰にもばれていないようだ。
「じゃあ俺、帰るわ」
俺は素早く教室から退室。
体育館裏か。誰も着けてこないか観察しながら行こう。
そして、人の目を気にしながら体育館裏へ向かう。
来たはいいが誰もいないのが不可解である。
「少し待つかな」
俺は体育館裏にあるいちょうの木に、もたれかかる。
「何かあるような気がするぞ」
俺のもたれている上の方からゴソゴソと音がする。
俺は思わず上を見上げる。
何か落ちてきた?
俺の予感は的中だった。
「いやー大成功!」
突然地面に倒されて真っ暗な世界に。まさかの転生?
あ、待ってこここれはスカートのなかじゃないか。
「なんかスカートの中が変な感触」
「すいませんすいません。ほんとにすいません、何でもします許してください。崖から落ちてもいいから許してください」
「お前見たな」
「だからさっきから謝ってるんですよ。ほんとに熊に食べられてもいいから許してください」
俺の目の前にはうちの高校の制服を着た少女が一人正座で座っている。
「熊が食うのは鮭だよ」
あれ? 怒ってないのか。
「まぁ見られたことは仕方のないことだから」
仕方なくねぇよ、少しは恥じらいを持て。
「私は許すけど国が許さないからなー」
「やっぱり怒ってるよね、すいませんでしたー」
俺は倒れた体を起こしそのまま土下座。
「ごめんごめん、さっきのは私が悪いからさ」
「いやでも見たのは事実だし」
その少女はものすごくかわいい笑顔で俺を見つめる。眼帯を付けているが破壊力のすごい笑顔だ。
「本題に入ろう」
「本題?」
その少女は大きくうなずいた。
「あなたを呼び出したのは私です」
「あんただったのかあのラブレターらしきものは」
少女はちょっと間を空けて、また話し出す。
「あなたを呼び出したのは他でもない、この眼帯です」
「その眼帯がどうかしたのか」
「あなたもまた眼帯を付けている」
「いかにも」
それにしてもかわいいなこの子何年生だ?
「問題は眼帯を付けている目なんです」
「この右目のことか」
少女はうなずき、自分自身の眼帯をはずした。
なんと少女の右目も俺と同じく改造されていたのだった。
「お前もまさか」
「そうです。そのまさかです」
まさか俺と同様の目のやつが居たとは。自宅の屋根裏から大金になる物が出てきたくらいの発見だ、嬉しさだ。
「せっかくですし一緒に帰りますか」
「一緒に帰る必要あるんすか」
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