■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
Fate/ZERO―イレギュラーズ―
第74話:集いし絆の仲間たち
(Fate/ZERO×銀魂×境界線上のホライゾン×神咒神威神楽×灼眼のシャナ×11eyes×戦国BASARA×龍が如く×ジョジョの奇妙な冒険×装甲悪鬼村正×Dies irae)
  [→]  【PAGE 1/9】
当事者たちの予想を超える数々の波乱に次ぐ波乱を繰り広げられた相対戦第三戦の決着を迎えようとする中、近藤達の乗ってきた自動車の車内からひっそりと事の成り行きを見守っていた者達―――アインツベルンの森にて近藤達と合流したアーチャー達の姿が有った。

「さて、一時はどうなる事かと思ったが…これを以て、この混沌の坩堝となった相対戦第三戦の決着がついたわけだが…これで満足いただけたかな、アーチャーよ?」
「おう、色々と助けてくれてありがとうな、メリー」

その最中、常と変らず舞台役者めいた大仰で口ぶりで尋ねるメルクリウスに対し、アーチャーはメルクリウスのウザさに苛立つどころか、色々とこちらに手を貸してくれたメリクリウスへ愛称付きで感謝の言葉を返した。
事実、近藤達と合流した後、事の成り行きを知ったメルクリウスの提案で、メルクリウスの有する“永劫回帰”をちょっと応用した転移魔術でアインツベルン城へとワープしたのだ。
そのおかげで、近藤達はセイバーが銀時を殺さんとする間一髪のところで間に合う事ができたのだ―――まぁ、普通の人間なら死にかねない程度の多少荒っぽい方法ではあったが。

「ですが、本当に宜しかったのですか、メルクリウス様?」
「うむ…一応、何か訳があってと思い、近藤殿達には黙ってはいたが…」

とここで、乗り合わせの為に霊体化していたホライゾンとライダーが何処か納得しがたい後ろめたさがあるかのような口調でメルクリウスに問い詰めた。
よくよく考えてみれば、相対戦第三戦の舞台であるアインツベルン城までわざわざ徒歩で向かわずとも、メルクリウスの転移魔術を使っていればすぐにアインツベルン城に到着する事ができた筈なのだ。
事実、この展開を見越していたかのようなメルクリウスの口振りと覇道神としての権能から鑑みれば、アインツベルン城に向かっている時点で、メルクリウスがセイバーの乱入に気付いていてもおかしくなかった。

「普通に考えれば、私達なら、あの場を制するなど容易かった筈だ」
「まぁ、俺の場合は駆けつけたところで、ほとんどやる事はなかったけどな」

そして、キャスターの言うように、自分達が加勢すれば、度重なる暴走により魔力を消耗しきったセイバーを打ち倒す事など造作もない事だった。
もっとも、直接戦闘に不向きである事を皮肉るように自嘲するアサシンについては別だが。
とはいえ、メルクリウスがセイバー襲撃を察知した時点でアインツベルンの城に乗り込んでいれば、少なくとも銀時がここまで追い詰められる事は無かったはずなのだ。
このメルクリウスの不可解な行動に対し、車内に残った面子の誰もが疑念の念を抱かずにいられない中で―――

「でも、それじゃあ…セイバー、いや、村正のねえちゃんが助けられねぇよ」

―――アーチャーだけはやれやれと座り込む銀時と安堵の余り放心状態となったセイバーの姿をジッと見比べながら、メルクリウスの真意を代弁するかのように言い切った。
確かに、キャスターの指摘通り、あくまで銀時を助けるだけならば、六陣営のサーヴァントが総掛かりで事に当たれば、暴走したセイバーを倒すのは容易い事だっただろう。
しかし、それでは切嗣の令呪によって銀時との不本意な闘いを強いられた上に、己の抱える“善悪相殺の誓約”の業に苛まれて頑なに心を閉ざしたセイバーを救う事はできないのだ。
無論、護るべき仲間であるセイバーの暴走を止めるべく、我が身と命を削るような説得を続けていた銀時にとってもそのような結末を望むところではないだろう。
そして、他者の心を読み抜く事に長けたメルクリウスがその事に気付かない筈がなかった。

“故に、私はあの男を、坂田銀時を信ずる事を選んだ”

だからこそ、今後の本番に向けての影響を含めた上で、メルクリウスはセイバー襲撃の時点で転移魔術を行使しないどころか、銀時が殺害されるギリギリまで事の成り行きを見守るのに徹した。

  [→]  【PAGE 1/9】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る