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ネギま!―剣製の凱歌―
番外10 豆は全力
(魔法先生ネギま!×Fate/stay night)
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<まえがき>

 …という名の注意書きです。
 今回の番外編は完全なギャグ回となっております、それを前提としてお読みください。
 それでは、どうぞ。






 ―――唐突だが、節分である。


 本日の日付は紛れも無く、二〇〇四年の二月三日。
 日本列島の全域に夥しくも悪鬼が溢れ、罪なき子供へ踊る様に毒牙を振り撒く厄災日。
 嗚呼、しかし日本男児よ、大和撫子よ。鬼を恐るることなど無し。
 子らは蔓延る天魔羅刹を、握り締めたる“魔滅《まめ》”で以て勇猛果敢に打ち倒さん―――。


 そう、節分である(二回目)。


 保育園から大学院まで揃う日本有数の学園都市〈麻帆良学園〉にも、その行事《イベント》は当然ある。
 教員や有志の学生がノリノリで鬼に扮し、幼児《オサナゴ》の悲鳴と喜声が麻帆良の各地で上がり、無数の大豆が飛散し乱舞する―――この、平和な夜に。

 麻帆良教会地下…関東魔法協会の集会所に、焦燥を浮かべて顔を揃える集団がいた。

 そう、彼らは魔法使い。西洋魔術師とも呼ばれる異能の使い手たち。
 麻帆良学園を影から守る彼ら『魔法先生』は今宵、予期せぬ大きな戦いに身を投じることとなった。
 果たして、彼らを待ち受ける運命とは――――


 ―――これは主人公・衛宮士郎が、厄介事に巻き込まれないお話である!!




 <番外10 豆は全力>




エヴァ
「………士郎、その不愉快な面子を叩き出せ」
士郎
「いや、流石にそれは乱暴だろ」

『こんばんはー!!』

 その集団は家主たるエヴァンジェリンの許可を待たず、勝手知ったる他人の家と言わんばかりにリビングまで到達していた。
 心底嫌そうな顔をしたエヴァンジェリンに視線で責められるも、士郎の方こそ戸惑っている。

士郎
「なんかウチで豆撒きやりたいって…」
エヴァ
「……はあ?」

 なぜウチなのだ、なぜウチなのか。ああ…なんでさ、と。
 そんな主従二人を余所に、いつものメンバー……明日菜、木乃香、刹那、ネギと小太郎……がエヴァンジェリンの前に集まってきた。

木乃香
「実はなー、さっきまでクラスの皆と女子寮で豆撒きしてたんやけど、これが案外楽しくてなー♪」
明日菜
「そういえば丁度よく本物の吸血鬼《オニ》がいるじゃん、ってことで二回戦を」
エヴァ
「誰が鬼だ、誰が!!あと断りもなく人のウチを二次会に使うんじゃない!!
 あっ、コラ茶々丸なにそいつらを歓迎してる!?
 おい士郎冷蔵庫を開けるな、もてなす準備をするなー!!」

チャチャゼロ
「楽シソーダナ御主人」
茶々丸’
「士郎さんとイチャイチャしているよりはいいです」

 ぎゃあぎゃあと喚くものの、誰も聞く耳を持たずにスルーされるエヴァンジェリン。
 そんな彼女を眺めるチャチャゼロと茶々丸’《ダッシュ》は、部屋の隅でこっそりと囁き合った。



〜ウチの地元ではこんな感じです(by作者)〜


コタロ
「ネギ、こうやるんやで!鬼はー、外!福はー、内!!」
ネギ
「小太郎君、僕もさっきクラスの皆と一緒にやったから知ってるよ?」
カモ
「しっかし、鬼《オーガ》の弱点が大豆だなんてフシギなハナシだな。そういう風習なんだろーケドよ」

 張り切る小太郎の近くで、ネギとカモは穏やかに会話しながら彼の豆撒きを眺めていた。
 小太郎が勢いよく、「その雄叫び」を上げるまでは。

コタロ
「鬼はー、外!福はー、内!!鬼の目ん玉ブッ潰せぇーーーーー!!!」
ネギ
「えええーーー!!?」
カモ
「目ん玉ァァアーーー!?」

 ネギとカモは想像する。
 豆を投げつけられ、堪らず家から追い出される鬼。
 外は二月、雪の降り積もる冷たい路上を素足で必死に逃げ惑う。
 肌を刺す寒さ、足を襲う痛み、それに耐えて敗走してゆく鬼の目からは、

 涙…ではない。

 そこにあるはずの、両の眼球が■■■■■■――――。


ネギ&カモ
「「ぎゃぁあああああああああああ!!!」」

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