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Fate/ZERO―イレギュラーズ―
第75話:■■■■■■−−−■■■編その1
(Fate/ZERO×銀魂×境界線上のホライゾン×神咒神威神楽×灼眼のシャナ×11eyes×戦国BASARA×龍が如く×ジョジョの奇妙な冒険×装甲悪鬼村正×Dies irae)
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留置所の檻に囚われた切嗣が“首領”と対峙した同じ頃、冬木警察署内部に一匹の毒蜘蛛が己の抱いた望みを叶えるべく密かに暗躍せんとしていた。

「さて、私の見立てが確かならば…」

そして、その毒蜘蛛―――シュピーネは署長室の周囲を見渡すように歩きながら、目当てのモノを探るかのように髑髏のように落ちくぼんだ眼を忙しなく巡らせていた。
普通ならば、如何に人気の少ない深夜といえども、国家権力の一端である警備の厳重な警察署の、その長たる署長室に這入り込むなどほぼ不可能であろう。
しかし、シュピーネは連続爆破テロ事件の捜査協力者という立場を利用する事で、人目を憚らずに堂々と署内を闊歩することができたのだ。
それに加えて、サーヴァントとしての能力である霊体化によって、一般人の立ち入りが困難な場所にも潜入できた事もシュピーネの探索をより容易なモノにしていた。
そして、黒円卓最優と称される諜報能力を駆使したシュピーネは切嗣の逮捕に協力する傍ら、周囲に気付かれることの無いまま、防犯システムの穴と署内の怪しい場所を隈なく探索していたのだ。
その後、署員の立ち入りが比較的少ない署長室に目星をつけたシュピーネは自身の願望を叶える千載一遇の機会と判断し、一番の障害となるラインハルト達が自分から目を放す相対戦の最中を狙い、ほぼ独断専行の形で署長室へと潜入する…筈だった。

「…で、そろそろ、出てきたら如何ですか、御三方?」
「…気付いていたのかよ」

とここで、徐に背後を振り返ったシュピーネはヤレヤレといった様子で扉の隙間から自分を監視する者達に声をかけた。
実は、署内に潜入して以降、シュピーネは人気のない筈の署内で自分を監視する視線を察知し、自分を尾行する者達の存在に気付いていたのだ。
とはいえ、下手に騒動を起こせば、“敵”に自身の存在を明かす事にもなりかねないと考えたシュピーネはあえて監視者を泳がす事で、自身の脅威となり得る存在であるかを見極める事にしたのだ。
当然の事ながら、相手が自分にとって脅威となる存在であるならば速やかに始末する事も考えつつ。
その後、署長室に潜り込んでも直、襲撃を仕掛けてこない監視者たち対し、シュピーネは少なくとも自身の“敵”足り得ない存在と判断し、監視者たちに姿を見せるように促したのだ。
やがて、そんなシュピーネの呼び掛けに対し、監視者たち―――伊達、大輔、外道丸の三名は観念したかのように呟く伊達のぼやきを合図に姿を露わにした。
もっとも、伊達たちの目からは目の前にいる“信用ならざる人物”であるシュピーネに対する拭いきれない警戒心が込められていたが。

「あぁ、お気になさらずに。決して貴方がたの尾行に不手際があったのではありません。ただ、黒円卓における私の立場上、より慎重により用心深くあらねばならないので」
「まぁ、そうでしょうね…」
「・・・」

一方、当のシュピーネは伊達たちの警戒心などまるで気に止める事無く、客人を出迎えるかのような仕草で応じるだけだった。
しかし、紳士然としたシュピーネの対応とは裏腹に、伊達たちには自分より遥かに劣る存在と見下し、自身の優秀さをひけらかすシュピーネの下卑た傲慢さが嫌というほど伝わってきた。
そこには、シュピーネが生前から抱いていた黄色人種に対する蔑視に加え、常人では太刀打ちできない超常の存在たるサーヴァントとなった自身への優越感が込められていた。
当然の事ながら、伊達たちは慇懃無礼なシュピーネに対する拭いきれない嫌悪感と不信感を抱かずにはいれなかった。
だが、それと同時に、廃発電所や六陣営会談の一件を通して、自分達では超常の力を有する存在に太刀打ちできない事も理解していた。
故に、その超常の存在でもあるシュピーネに自分達の生殺与奪を握られている以上、大輔たちは相手を刺激しない程度の無難な言葉で返答するしかなかった。

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