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Fate/Heroes of mythology〜神域追想呪界〜
樹海
(Fate/stay night×乃木若葉は勇者である)
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確かに名前を知らないままではどう呼べばいいかも分からない。
「ああ、すまない。私は乃木若葉だ。若葉でいい、よろしく頼む」
乃木若葉と名乗った少女は立香達にこの今の状況を詳しく教えてくれた。
「まず、立香・・・あ、名前で呼ばせてもらっても構わないだろうか?」
「あ、どうぞどうぞ。私も若葉って呼ばせてもらうね」
「構わないとも。さて、立香達との情報の齟齬を埋めておきたい。まず、あの壁外にいるバケモノをこちらでは『バーテックス』と呼称している。そちらでも恐らく軍が対応しただろうが、アレらは私達の持つ『勇者』の武器でないと現状倒せない。ここまではそちらと情報の食い違いはないだろうか?」
「あ、うん・・・ない・・・と思うよ?」
現代兵器が通用しないという事は恐らくあの『バーテックス』というモノは霊体ないしそれに等しいモノなのだろう。
そして『勇者』の武器とはつまりは宝具という事なのだろう。
「えっと、その『勇者』っていうのは?」
「ん? 立香達のところではそう呼ばなかったのか?」
「えっと、こちらでは英霊、とかサーヴァントって呼んでいたかな〜」
「そうなのか・・・『勇者』という呼び方で説明を続けても構わないか?」
「あ、それは大丈夫」
「私はあの日、修学旅行先の神社にあったこの刀を偶然手に入れて勇者になった。その日よりこの神樹様の加護を受けたこの地を守護しているんだ」
「あの日って・・・何時だったっけ?」
「忘れもしない、2015年7月30日の事だ」
立香は若葉のその言葉に違和感を覚えた。
72年も前の、明らかに若葉の外見的年齢から推測する以上も前の出来事をつい数年前の事の様に言っている。
「えっと・・・ところで若葉さんは今・・・いくつ?」
「ん? 私か? 14だが・・・それがどうかしたか?」
14歳、驚くほどに若い・・・
佇まいや言動から高校生くらいの年齢かと思っていた立香は驚くしかなかったが、もっと驚くべきは別にあった。
「え・・・? だって、今2087年だよね? その日から生きてるなら・・・」
「いや、何だその途方もない未来は・・・今は2018年だぞ? どうしたんだ? 立香。私はそんな御婆ちゃんじゃないぞ?」
「え・・・ちょっ・・・ちょっと待って。ちょっとカルデアに・・・あー・・・えっと私達の神様と交信するから」
「あ・・・ああ、分かった」
情報が噛み合わない。
シバは特異点を観測した時代を2087年の未来だと計測し、私達はその時代にレイシフトした。
だが、その時代に生きているはずの若葉は今を2018年だという。
レイシフトの失敗。
それがまず頭によぎった。
有り得ないと思いたいが、今回は移動する特異点へのレイシフトだ。
万が一の事もあり得る。
立香は若葉との会話を中断し、少し席を外してカルデアとの連絡を取り始めた。
「・・・・・・・・・ら・・・・・・ちら・・・繰りか・・・・・・カル・・・通・・・・・・」
通信はノイズだらけでマトモに行えなかった。
「マスター、『かるであ』はなんと?」
「ダメ、ノイズまみれで繋がらない・・・」
「では如何しますか?」
「んー・・・繋がらないなら若葉さんの話を聞こう」
現状カルデアの支援は求められない。
ならば今は現地での情報こそが何より重要だ。
そう考えた立香はカルデアとの通信は一旦置いておいて、若葉の話を聞く事を優先する事にした。

「貴女達の神は何だと?」
「あ、うん。どうも感度が悪くて聞き取れなかったよ・・・えっと、話の続きお願いしてもいいかな?」
「ああ、構わない。さて、何処まで話したか・・・そう、神樹様の御加護を受けたこの地を守護している、というところまでだったな」
「その神樹様っていうのはどういう存在なの?」
「神樹様はこの地の多くの土地神様がお集まりになられた大樹の事だ」
神霊は確か彼の英雄王が人と神との袂を別ってから物質的に存在した事など無かったはずだ。

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