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Fate/Heroes of mythology〜神域追想呪界〜
プロローグ:レイシフト
(Fate/stay night×乃木若葉は勇者である)
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余りにも危険なレイシフトにマシュが非難の声を上げるがダ・ヴィンチは構わず続ける。
「だから、今回は『縁』を使う」
「縁?」
どうしてそんなモノが使用されるのか解らず困惑する二人にダ・ヴィンチは説明を続ける。
「どうもこの特異点は特定の存在を拒み、特定の存在を積極的に受け容れる法則があるみたいでね、天と星に属する性質を有さない事、かつ日本古来の英霊であり神性を有さない事。そしてこの特異点と『縁』の深い英霊である事。この三点をクリアした英霊と一緒にレイシフトしてもらう事で、特異点が受け入れた英霊と立香君との魔力パスという『縁』を元に存在を計測、証明する事になる。だから今回は、現地で英霊を召喚するのではなく、同行する英霊も一緒にレイシフトしてもらう事になる。もう既に候補者が決定しているから、確認してくれたまえ」
ダ・ヴィンチはそう言ってリストを立香に渡した。
渡されたリストには三名の英霊が記されていた。

アーチャー・巴御前
アサシン・酒呑童子
ライダー・牛若丸

「あの・・・地、人の属性の英霊は他にも、もっとおられるのではないですか?」
リストを見てマシュが素朴な疑問を呈した。
確かに他にも日本の英霊で地、人に属する英霊はこの他にもいる。
宮本武蔵や織田信長、沖田総司など、リストに挙げられた英霊と同等、場合によってはそれ以上に強力な英霊もいるのだ。
それをリストに入れていないなど戦力的に『勿体ない』というものだ。
「ああ、だから『縁』を使うって言っただろう? そのリストに入っている英霊は特異点との『縁』が不思議と他の英霊より強いんだよ。カルデアとしては全員をレイシフトさせるほど余裕はないし、かといって強力だが『縁』が薄くて確実性に欠ける英霊を連れていくよりは『縁』の濃い英霊を連れて行って成功率が上がる事を重視しているんだ」
「なるほど・・・」
ダ・ヴィンチの説明で納得する立香と違い、マシュは更に疑問点を見つけダ・ヴィンチに聞く。
「そう言えばなんですけど、酒呑童子さんは確かに地に属する英霊ですけど神性スキル持ちですよ? 大丈夫なんですか?」
「ああ・・・うん。酒呑童子君はどうも例外的に拒絶する法則に弾かれずに入れる様なんだ」
「そんな例外が起こり得るのですか?」
神性スキル持ちを拒絶するという性質を有する特異点が例外的に酒呑童子のみ受け入れるというのは余りにもおかしい。
そう問うマシュにダ・ヴィンチも少々困惑気味に答える。
「解らない、というのがその質問への答えだよ。何故酒呑童子君のみが受け入れられるのか、そこに我々は明確な答えを見出せなかった。だからこれは仮説になるんけどね、酒呑童子君は法則より『縁』が勝っているんだろう。とにかく、酒呑童子君は他の英霊よりもこの特異点へのレイシフトの成功率が高い。僅かでも成功率を上げる為なら、私はこの不思議をこの際無視してでも挑むべきだと思う」
「先輩は・・・どう思われますか?」
「確率が上がるのなら、挑むべきだと思う」
今回のレイシフトは移動を続ける特異点へのレイシフトとなる。
僅かな不確定要素が混じっている状態でのレイシフトを不安視するマシュの問いに立香はダ・ヴィンチの提案を受け入れる姿勢を示した。
「よし、ならレイシフトに入ってもらっていいかな? 事は一刻を争うんだ」

〜霊子匿体前〜

「マスター・・・」
霊子匿体に入る直前、巴御前が立香を呼び止めた。
「ん? どうしたの?」
「私は貴女の家臣です。正確には私ではありませんが、下総での御無礼、この一戦にて雪ぐ所存です。存分に御使い潰し下さい」
「えーっと、御前。アレは貴女じゃないよ。アレは御前の姿を模しただけの別物だった。だから御前には汚名も無礼もないんだよ。気負わないで気楽に、ね?」
下総国での巴御前は、芦屋堂満の外法で既に消滅していた。

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